
気になっている中古の一戸建てが「建ぺい率オーバー」だと言われました。新築の建売でも、あとから同じことになりますか。
言葉は聞いたことがあっても、何がどう困るのかは分かりにくいですよね。
先に結論を言います。建ぺい率オーバーは、建物の1階の広がりが法律の上限を超えている状態です。
新築の建売は検査を受けて建っているので、引き渡しの時点で超えていることはまずありません。
ただ、買ったあとにカーポートや物置を足すと、
気づかないうちに上限を超え、売るときに買主の住宅ローンが通らなくなることがあります。
避け方は、足す前に敷地面積×建ぺい率から今の建築面積を引いて、余りの面積を計算しておくことです。
この記事では、建築基準法の条文と当社の物件データを使って、建ぺい率オーバーの中身と防ぎ方をまとめます。
この記事で分かること
建ぺい率の計算式と、用途地域ごとの上限
角地や準防火地域で建ぺい率が緩和される条件
建ぺい率オーバーの違反建築物と既存不適格の違い
建売を買ったあとに建ぺい率を超えやすい工事
関西の建売1,337件の建ぺい率と、残っている余りの面積
建ぺい率とは建築面積の上限を決める割合|計算式と用途地域ごとの数字


建ぺい率は、建築基準法53条で決まっています。条文は、建築面積の敷地面積に対する割合を「建蔽率」と呼んでいます。
建ぺい率の計算式
建ぺい率(%)=建築面積 ÷ 敷地面積 × 100
建てられる建築面積の上限=敷地面積 × 建ぺい率の上限
建築面積は、建物を真上から見たときの広さです。ふつうの2階建てなら、1階の外壁で囲まれた広さがほぼこれにあたります。
建築基準法施行令2条は、軒やひさしは先端から1mまでの部分を建築面積に入れないと定めています。1mを超えて出ている軒は、超えた分だけ入ります。
| 用途地域 | 都市計画で選べる建ぺい率 |
|---|---|
| 第1種・第2種低層住居専用、中高層住居専用、田園住居 | 30・40・50・60% |
| 第1種・第2種住居、準住居、準工業 | 50・60・80% |
| 近隣商業 | 60・80% |
| 商業 | 80% |
| 工業 | 50・60% |
容積率が床の合計の上限なのに対して、建ぺい率は1階の広がりの上限です。容積率の計算は容積率の計算方法は?前面道路で上限が下がる式と大阪市の0.6と車庫やロフトが延床に入らない条件を建売で解説で解説しています。
建ぺい率の緩和|角地と準防火地域で10%から20%上がる


建ぺい率には、条件を満たすと上限が上がる緩和があります。建築基準法53条3項が定めています。
| 条件 | 上がる幅 | 根拠 |
|---|---|---|
| 防火地域の耐火建築物等 | +10% | 53条3項1号 |
| 準防火地域の耐火建築物等・準耐火建築物等 | +10% | 53条3項1号 |
| 特定行政庁が指定した角地 | +10% | 53条3項2号 |
| 上の1号と2号の両方 | +20% | 53条3項 |
| 80%の地域の防火地域にある耐火建築物等 | 制限なし | 53条6項1号 |
角地の緩和は、角にあるだけでなく特定行政庁が指定した敷地に限られるのが注意点です。指定の基準は市ごとに違います。角地の見方は角地のデメリットとは?建売で後悔しない隅切りと建蔽率緩和と固定資産税の見方にまとめています。
準防火地域の緩和は、準耐火建築物などの構造が条件です。防火構造の木造2階建ては対象になりません。詳しくは準防火地域のデメリットとは?窓と外壁の決まりと10㎡以内の増築も確認申請が要る理由と建ぺい率と保険料のメリットを建売で解説で解説しています。
角地の緩和の条件は大阪市と大阪府で違う
同じ大阪でも、大阪市と、大阪市以外の府の区域とでは角地の指定条件が違うことがあります。大阪市は大阪市建築基準法施行細則15条、府は大阪府建築基準法施行細則4条で決めています。
| 大阪市(施行細則15条) | 大阪府(施行細則4条) | |
|---|---|---|
| 角の内角 | 150度以下 | 120度以下 |
| 道路の幅 | 一方が10m以上、または両方4m以上で2m以上の隅切り | 両方6m以上で合計15m以上、または両方4m以上で敷地200㎡以下 |
| 道路に接する長さ | 敷地の外周の3分の1以上 | 敷地の外周の3分の1以上 |
| 2本の道路に挟まれた敷地 | 間隔35m以下・外周の4分の1以上 | 間隔25m以下・外周の4分の1以上 |
たとえば大阪府の区域では、幅4mの道路の角でも、敷地が200㎡を超えると角地の緩和を受けられない条件になっています。大阪市は、2m以上の隅切りがあることを条件にしています。
大阪市の資料は、セットバックが必要な道路は後退した線を道路の境界とみなし、幅を4mとして扱うとしています。
販売図面の建ぺい率は緩和を入れた数字か元の数字かを聞く
販売図面に70%と書かれていても、指定は60%で角地の緩和を足した数字ということがあります。
緩和は建物の条件しだいで使えなくなることもあるので、重要事項説明書で指定の数字と緩和の有無を分けて確かめると確実です。
建ぺい率オーバーとは|違反建築物と既存不適格の違い


建ぺい率を超えている家は、できた時の事情で2つに分かれます。
| 違反建築物 | 既存不適格 | |
|---|---|---|
| いつ超えたか | 建てた時や増築した時に超えた | 建てた後の法改正や都市計画の変更で超えた |
| 法律の扱い | 建築基準法に違反 | 今の規定が適用されない(3条2項) |
| 行政の対応 | 是正を命じることができる(9条) | そのまま使える |
| 建て替えや増築 | まず違反を直す必要がある | 今の基準に合わせる必要がある |
建てたあとの決まりの変更で超えただけなら、違反ではなく既存不適格です。建築基準法3条2項が、その時に建っていた建物には新しい規定を当てはめないと定めているからです。
一方、増築で上限を超えた家は違反建築物です。中古でよく問題になるのは、こちらのほうです。
違反建築物には是正命令があり従わないと罰則がある
建築基準法9条1項は、違反建築物について、特定行政庁が所有者などに除却や改築などの是正を命じられると定めています。
命令に従わないと、98条で3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金の対象になります。買ったあとの持ち主も、所有者として命令の相手になりえます。
建ぺい率オーバーの家で起きること|住宅ローンと売却と是正


買主にとって大きいのは、お金の話です。
国土交通省のガイドラインは、研究会の報告書を引いて中古住宅の流通段階で、金融機関が融資の可否を判断するに当たり、検査済証が求められる場合が多いと書いています。
増築で建ぺい率を超えた家は、検査済証の内容と今の建物が合いません。そのため住宅ローンが通らなかったり、借りられる額が減ったりします。
建ぺい率オーバーの家で起きやすいこと
住宅ローンの審査で担保の評価が下がる
増築やリフォームの確認申請が出しにくい
売るときに買主のローンが通らず、値下げや現金の買主探しになる
建ぺい率オーバーの中古は売るときにも同じ壁がある
今は現金や理解のある金融機関で買えても、次に売るときの買主も同じ審査を受けます。
買い手が住宅ローンを使えないと、現金で買える人か業者に相手が限られるので、売る値段は下がりやすくなります。
融資の扱いは金融機関ごとに違います。一律に借りられないわけではありませんが、選べる金融機関が減ると考えておくのが安全です。



検査済証がない中古は、もう確かめようがないのでしょうか。



国のガイドラインに沿って、建築士や検査機関に今の建物が法律に合っているかを調べてもらう方法があります。令和7年4月からは「既存建築物の現況調査ガイドライン」にまとめられています。
建売で建ぺい率オーバーになるのは買ったあとに足す工事


新築の建売は、確認と完了検査を受けて建っています。引き渡しの時点で建ぺい率を超えていることは、ふつうはありません。
超えるのは、買ったあとに屋根のあるものを敷地に足したときです。
| 足すもの | 建築面積の扱い | 注意 |
|---|---|---|
| カーポート | 柱と屋根があれば入る(開放性の高い構造は端から1mを除く) | 1台用でも数㎡になる |
| 物置 | 基礎で固定すれば建築物として入る | 置き方と大きさで扱いが変わる |
| サンルーム・テラス囲い | 入る | 床面積にも入る |
| 増築 | 入る | 延床面積も増えて容積率にも効く |
カーポートの扱いと必要な余りの面積はカーポートに固定資産税はかかる?建ぺい率と確認申請の要否と物置とガレージの違いを建売向けに解説で、外構の建ぺい率の計算は戸建ての自転車置き場の工夫と建売の外構はあとからできるか|建蔽率の計算で詳しく書いています。
余りの面積は確認済証の建築面積から自分で計算できる
計算に使うのは、確認済証と図面に書かれた建築面積です。
建ぺい率の余りの計算
余り(㎡)=敷地面積 × 建ぺい率の上限 − 今の建築面積
例:敷地120㎡・建ぺい率60%・建築面積55㎡ → 72㎡ − 55㎡ = 17㎡
角地の緩和が使える敷地なら、上限に10%を足して計算する
17㎡の余りがあれば、1台用のカーポートなら入る計算です。ただ、物置やサンルームも足すなら合計で考えます。
確認申請が要らない工事でも建ぺい率は守る必要がある
建築基準法6条2項は、防火地域と準防火地域の外なら、10㎡以内の増築などは確認申請が要らないと定めています。
ただ、確認申請が要らないことと、建ぺい率を超えてよいことは別の話です。申請がなくても、53条の上限は守る必要があります。
防火地域と準防火地域では、10㎡以内でも確認申請が要ります。業者に頼むときは、工事の前に余りの面積を伝えておきましょう。
当社データで見る関西の建売の建ぺい率と残っている余り


当社の物件データで、関西の新築建売の建ぺい率を数えました。建ぺい率と面積の記載がある1,337件です。
| 建ぺい率 | 件数 | 割合 |
|---|---|---|
| 60% | 938件 | 70.2% |
| 50% | 150件 | 11.2% |
| 70% | 104件 | 7.8% |
| 40% | 89件 | 6.7% |
| 80% | 52件 | 3.9% |
| そのほか | 4件 | 0.3% |
関西の建売の7割は建ぺい率60%の土地でした。
大阪府の建売は3件に1件が余り10.5㎡未満
次に、あとから足せる面積の余りを推計しました。2階建てと仮定して延床面積の半分を1階の広さとみなし、敷地面積×建ぺい率から引いています。
| 府県 | 件数 | 余りの中央値 | 余り10.5㎡未満 |
|---|---|---|---|
| 大阪府 | 363件 | 16.4㎡ | 32.5% |
| 兵庫県 | 405件 | 28.0㎡ | 16.5% |
| 京都府 | 103件 | 20.2㎡ | 14.6% |
| 奈良県 | 277件 | 32.2㎡ | 1.8% |
| 滋賀県 | 164件 | 32.8㎡ | 1.8% |
| 和歌山県 | 25件 | 42.7㎡ | 0.0% |
| 全体 | 1,337件 | 26.1㎡ | 15.6% |
全体の中央値は26.1㎡で、多くの建売には1台用のカーポートが入るほどの余りがある計算です。ただ、大阪府では余りが10.5㎡未満の建売が32.5%ありました。
この数字は推計です。3階建てや1階が広い間取りでは外れるので、自分の家は確認済証の建築面積で計算し直してください。
当社の物件データは、飯田グループ6社の物件が95%を占めています。ほかの売主の物件では傾向が違うこともあるので、目安として見てください。
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接道2mと再建築不可|建ぺい率と一緒に見る敷地の条件


建ぺい率と並んで、建て替えのたびに効いてくるのが接道です。建築基準法43条1項は、建物の敷地は道路に2m以上接しなければならないと定めています。
ここでいう道路は、建築基準法42条の道路です。幅4m未満の道は、中心から2m下がった線を道路の境界とみなします。後退の計算はセットバックとは?42条2項道路と位置指定道路の違いとセットバック幅の計算を解説で解説しています。
道路に2m以上接していない土地には、原則として建て替えができないことになります。いわゆる再建築不可の物件です。買う場合の判断は再建築不可物件を購入しました|後悔しないための判断基準を解説にまとめています。
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中古や築浅を買うときに建ぺい率オーバーを確かめる書類の順番


新築の建売なら検査済証で確かめられます。築浅の中古を買うときは、増築がないかまで見る必要があります。
| 順番 | 見る書類 | 確かめること |
|---|---|---|
| 1 | 重要事項説明書 | 指定の建ぺい率と緩和の有無 |
| 2 | 確認済証と図面 | 確認を受けたときの建築面積 |
| 3 | 検査済証 | 完了検査に合格しているか |
| 4 | 建築計画概要書 | 配置図と確認の内容(役所で閲覧) |
| 5 | 登記簿と現地 | 床面積の増え方と、図面にない建物 |
登記簿の床面積が図面より広ければ増築を疑う
登記簿の床面積が確認済証の図面より大きく増えていれば、増築を疑うのが基本です。未登記の増築もあるので、現地で図面にない物置やサンルームがないかも見ます。
書類の見方は、建築確認済証とは?見方と副本と図面の受け取り方と紛失したときの代わりの書類を建売の買主向けに解説、検査済証とは?ない家のリスクと義務化はいつからか建売で確かめる方法を解説、建築計画概要書とは?見方と取り方と手数料と処分等概要書で完了検査を確かめる方法を建売の買主向けに解説でそれぞれ詳しく書いています。



数字が合わないときは、契約の前に売主に理由を聞いておくことが大切です。重要事項説明書に書かれているかも、あわせて確かめておくと安心です。
建ぺい率オーバーに関するよくある質問


- 建ぺい率オーバーに罰則はありますか。
-
超えていること自体に罰金があるわけではありません。特定行政庁の是正命令(建築基準法9条)に従わなかった場合に、3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金の対象になります(98条)。
- 建ぺい率オーバーの家でも住宅ローンは組めますか。
-
金融機関ごとに扱いが違います。国のガイドラインは、金融機関が融資の判断で検査済証を求める場合が多いと書いており、選べる金融機関は減ると考えておくのが安全です。
- 軒やひさしは建築面積に入りますか。
-
先端から1mまでの部分は入りません。1mを超えて出ている場合は、超えた分が入ります(建築基準法施行令2条1項2号)。
- 建ぺい率オーバーはどう直しますか。
-
増築した部分を取り除く、小さくするなどで上限の中に戻します。既存不適格の家は、そのまま使う限り直す必要はありません。
- カーポートを付けたら建ぺい率オーバーになりますか。
-
余りの面積が足りなければなります。敷地面積×建ぺい率から今の建築面積を引いた余りと、カーポートの屋根の面積を比べてください。
- 角地なら必ず建ぺい率が10%上がりますか。
-
上がるのは、特定行政庁が指定した角地だけです。指定の条件は市ごとに違うので、重要事項説明書で緩和の有無を確かめてください。
建ぺい率オーバーは足す前の計算で防げる|押さえる6つのこと


最後にまとめます。新築の建売は検査済証で確かめ、買ったあとは足す前に余りを計算するのが基本です。
- 建ぺい率=建築面積÷敷地面積×100
- 角地と準防火・防火地域の緩和は、指定や構造の条件つき
- 建てた後の決まりの変更で超えたのは既存不適格で、違反ではない
- 増築で超えた違反建築物は、是正命令と住宅ローンで困る
- 関西の建売は余りの中央値26.1㎡、大阪府は32.5%が10.5㎡未満
- 中古は登記簿の床面積と図面の差で増築を見抜く
建ぺい率は、家を買う時より、あとで物を足す時と売る時に効いてくる数字です。一度だけ余りを計算しておけば、外構を考えるときにも迷いません。
当社は新築の建売を仲介手数料0円でご案内しています。物件の良いところも気になるところも、買主の側に立ってそのままお伝えします。ご希望があれば、重要事項説明書の建ぺい率の欄と確認済証の建築面積を一緒に見て、余りを計算することもご相談ください。
新築一戸建て・建売を買うとき、仲介手数料は0円になります。物件価格が上がるほど、差は大きくなります。
| 物件価格 | 通常の仲介手数料(税込) | ラクチン不動産 |
|---|---|---|
| 2,500万円 | 89万1,000円 | 0円 |
| 3,000万円 | 105万6,000円 | 0円 |
| 3,500万円 | 122万1,000円 | 0円 |
| 4,000万円 | 138万6,000円 | 0円 |
| 4,500万円 | 155万1,000円 | 0円 |
なぜ0円にできるのか
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