
建売を見に行ったら「制震ダンパー付き」と言われました。免震とは何が違うのですか。制震が付いていれば地震に強い家と考えていいのでしょうか。
耐震・制震・免震は字が似ているので、どれがいちばん安心なのか迷うところです。営業の説明だけでは、比べようがないと感じますよね。
先に結論を言います。制震は壁の中の装置で揺れを吸収し、免震は建物を地面から切り離して揺れを伝えにくくする仕組みです。どちらも、土台になるのは建物そのものの強さである耐震です。
建売で現実に選べるのは、耐震等級と制震の組み合わせです。免震の建売は、当社が集めた販売図面224枚に1枚もありませんでした。
「制震付き」という言葉だけで安心すると、
耐震等級の書類がなく、地震保険の割引もフラット35Sも使えない家を買ってしまうことがあります。
避け方は、先に住宅性能評価書で耐震等級を確かめ、そのあと仕様書で制震の有無を確かめることです。
この記事では、住宅性能評価書の解説や国の研究所の実験、当社の物件データをもとに、制震と免震の違いと建売での確かめ方をまとめます。
この記事で分かること
耐震・制震・免震の仕組みの違い
制震と免震のメリットとデメリット
住宅性能評価書に免震は載り、制震は載らないこと
地震保険とフラット35Sで差が出るのは耐震等級と免震だけであること
関西の建売で制震と免震が書かれている件数
建売で耐震と制震を確かめる順番
耐震と制震と免震の違い|揺れに耐えるか吸収するか伝えないか


3つの違いは、地震の揺れへの向き合い方です。表にすると次のようになります。
| 方式 | 仕組み | 主な部材 | 建売での扱い |
|---|---|---|---|
| 耐震 | 柱・梁・壁を強くして揺れに耐える | 耐力壁・金物・基礎 | すべての家の前提 |
| 制震 | 揺れのエネルギーを装置で吸収する | 制震ダンパー | 売主や物件によって付く |
| 免震 | 建物と地面の間で揺れを伝えにくくする | 積層ゴムなどの免震部材 | ほとんど見かけない |
耐震は、建築基準法がすべての建物に求めている考え方です。制震と免震は、その耐震の上に足す仕組みだと考えると分かりやすくなります。
耐震の強さは耐震等級で表す
耐震の強さは、住宅性能表示の耐震等級1〜3で表します。等級1は数百年に一度程度の地震で倒れない水準で、東京なら震度6強から7程度にあたります。
等級2と3の中身は耐震等級2とは?1.25倍の強さと等級3との差と長期優良住宅が等級2に戻った理由と耐震等級の調べ方を建売で解説と建売の耐震等級は1が多い?耐震等級3との違いと地震保険の割引と確かめ方を解説で詳しく解説しています。
制震とは|壁の中のダンパーで揺れのエネルギーを吸収する


制震は、柱と梁で囲まれた壁の中に制震ダンパーを入れる仕組みです。ダンパーが揺れのエネルギーを熱などに変えて、建物の変形を小さくします。
木造の建売で使われるダンパーは、ゴムのような粘弾性の素材や、油圧、金属を使うものに分かれます。壁の中に入るので、完成した家では外から見えません。
制震のメリットは繰り返しの揺れで傷みがたまりにくいこと
制震装置のメーカーや売主は、大きな揺れが何度も来たときに、建物の傷みがたまるのを抑えることを強みとして説明しています。2016年の熊本地震では、4月14日と16日に熊本県益城町で震度7が2回観測されました。
壁の中に収まるので、間取りや敷地の制約をほとんど受けないのも制震の特徴です。
制震のデメリットは性能を書類で比べにくいこと
制震には、耐震等級のような国の物差しがありません。「揺れを最大◯%低減」という数字は、メーカーごとに条件の違う実験の値です。
制震を比べるときに見る3つ
ダンパーの製品名と1棟あたりの本数
設置する壁の位置(1階だけか、2階にもあるか)
物件の耐震等級(制震は等級の上に足すもの)
同じ売主でも、物件や時期で付いたり付かなかったりします。たとえば東栄住宅はひどい?評判が割れる理由と坪単価と標準仕様を解説やファイブイズホームの評判は?飯田グループとの違いと制震の有無を解説で書いたように、標準になった時期や商品で有無が分かれます。
免震とは|基礎と建物の間の装置で揺れを伝えにくくする


免震は、基礎と建物の間に積層ゴムなどの免震部材を入れる構造です。住宅性能評価書の解説では、激しく短い周期の地震の揺れを緩やかな揺れに変えて、建物の中の人や家具を守る構造と説明されています。
建物そのものが揺れにくくなるので、家具の転倒や室内の被害まで減らせるのが免震の強みです。耐震や制震は、建物が壊れないことが主な目的です。
免震の戸建ては累計で約4,000棟
建築研究所の2012年の講演資料では、免震構造の戸建て住宅は約4,000棟とされています。日本免震構造協会の調べで、戸建て以外の建物は約2,700棟でした。
毎年たくさんの一戸建てが建つなかで、免震の戸建てはまだ珍しい存在です。
制震と免震のメリットとデメリット|建売では制震が現実的


制震と免震を、建売を買う立場で比べました。
| 比べる点 | 制震 | 免震 |
|---|---|---|
| 揺れを抑える効果 | 建物の変形を小さくする | 建物に揺れを伝えにくくする |
| 室内の被害 | 揺れそのものは伝わる | 家具の転倒まで減らしやすい |
| 敷地 | ほぼ制約なし | 建物が動くためのすき間が要る |
| 維持管理 | メンテナンス不要とうたう製品がある | 維持管理のルールを決める必要がある |
| 書類での確認 | 評価書に項目がない | 評価書に「免震建築物」と載る |
| 建売での出会いやすさ | 売主によっては標準 | ほとんど見かけない |
免震は、揺れを減らす力では制震より上です。ただし、建物のまわりに動くためのすき間が要り、維持管理も必要です。
間口の狭い区画が並ぶ建売では、免震を採り入れるのは難しいと考えられます。そのため建売で現実的なのは、耐震等級を上げたうえで制震を足す形です。
免震の家で気をつけること
建物が動くためのすき間に物を置かないなど、暮らし方の決まりがあります
免震部材の点検など、維持管理のルールを引き継ぐ必要があります
評価書に「免震建築物」と載っているかで免震かどうかを確かめます



制震と免震なら、どちらが上なのですか。



揺れを小さくする力だけなら免震が上です。ただ建売ではほとんど選べないので、まず耐震等級を確かめて、そのうえで制震の有無を見るのが現実的な比べ方です。
評価書と地震保険で差が出るのは耐震等級と免震|制震は載らない


住宅性能評価書の「構造の安定」には、地震について次の3つの項目があります。
| 評価書の項目 | 表示のしかた |
|---|---|
| 耐震等級(構造躯体の倒壊等防止) | 等級3〜1 |
| 耐震等級(構造躯体の損傷防止) | 等級3〜1 |
| その他(地震に対する構造躯体の倒壊等防止及び損傷防止) | 「免震建築物」か「その他」か |
免震建築物と確認された家は、耐震等級の表示をしないことになっています。免震は耐震等級とは別の物差しで評価される、ということです。
制震ダンパーは評価書のどこにも書かれない
評価書の項目に、制震という欄はありません。制震ダンパーが入っていても、それだけで耐震等級が上がるわけではありません。
制震の有無は、設備仕様書や図面、売主の標準仕様の資料で確かめます。評価書の読み方は住宅性能評価書の見方|建売で見る6つの等級と設計・建設の違いにまとめています。
地震保険の割引は免震も耐震等級3も50%


お金の面でも、制震と免震ははっきり分かれます。地震保険の割引は、免震建築物も耐震等級3も50%です。
| 家の性能 | 地震保険の割引 | 大阪府の木造(保険金額1,000万円・年) |
|---|---|---|
| 割引なし | ― | 19,500円 |
| 制震だけ(建築年割引のみ) | 10% | 17,550円 |
| 耐震等級2 | 30% | 13,650円 |
| 耐震等級3 | 50% | 9,750円 |
| 免震建築物 | 50% | 9,750円 |
制震ダンパーには地震保険の割引がありません。新築なら建築年割引の10%は付くので、制震だけの家と等級3の家では年7,800円の差になります。
割引の書類と火災保険との関係は新築一戸建ての火災保険の相場は?木造の10年一括が5年になった理由と耐震等級割引にまとめています。
フラット35Sの金利Aプランも等級3か免震
フラット35Sの耐震の基準は、金利Aプランが耐震等級3か免震建築物、金利Bプランが耐震等級2以上か免震建築物です。ここにも制震の基準はありません。
金利の差と総返済額はフラット35Sとは?金利Aプランと金利Bプランの基準と子育てプラスのポイントで総返済がいくら減るかを建売で解説で計算しています。
制震は耐震等級の代わりにならない|国の震動台での実験結果


防災科学技術研究所の震動台E-ディフェンスでは、2015年に実大の木造住宅7棟を揺らす実験が行われました。住宅会社が施設を借りて、制震の効果や強い耐力壁の性能を確かめたものです。
研究所の成果リポジトリには、制振装置の有無で、建物の損傷に大きな差異が生じないことが分かったと書かれています。
建物が強いほど制震の出番は小さくなる
制震ダンパーは、建物が揺れて変形したときに働く装置です。もともと変形しにくい強い家では、ダンパーが受け持つ分が小さくなると考えられます。
この実験は特定の住宅の結果で、すべての制震装置に当てはまるわけではありません。それでも、制震は耐震等級の代わりではなく、上に足すものという順番ははっきりします。
関西で地震への備えを考える理由
政府の地震調査委員会は2025年9月、南海トラフで今後30年以内に大地震が起きる確率を見直しました。計算の方法で60%〜90%程度以上と20%〜50%の2つを並べ、どちらも最も高い「Ⅲランク」としています。
揺れへの備えは、建物だけでなく地盤も大切です。地盤の調べ方は建売は地盤調査してない?関西1356件を地形で調べた液状化の割合と確かめ方で、屋根の重さと耐震の関係は瓦屋根のメリットとデメリットは?スレート屋根の寿命と金属板との重さの違いと地震と台風への備えを建売で解説で解説しています。
【独自集計】関西の建売で制震と免震はどれくらい書かれているか


当社の物件データで、関西の新築建売1,340件の販売資料を調べました。
| 書かれている内容 | 件数 | 割合 |
|---|---|---|
| 特記事項に「制震構造」 | 33件 | 2.5% |
| 特記事項に「免震構造」 | 2件 | 0.1% |
| 本文に「耐震等級3」 | 107件 | 8.0% |
「制震構造」の33件のうち32件は、同じ1社の物件でした。その会社は公式に制震装置を打ち出していますが、同じ会社の物件でも記載のないものが大半です。
「耐震等級3」の107件も、すべて別の1社が備考に書いたものでした。
特記事項は選んで付ける欄なので、書いていなくても付いていないとは限りません。逆に、記載があっても仕様書で確かめる必要があります。
免震構造と書かれた2件は同じ分譲地の2棟だけ
「免震構造」と書かれた2件は、和歌山市の同じ分譲地にある7棟のうちの2棟でした。残りの5棟には何も書かれていません。
同じ分譲地で2棟だけが免震というのは考えにくく、登録のときの選び間違いの可能性もあります。免震と書かれた建売を見つけたら、評価書に「免震建築物」と載っているかを確かめてください。
販売図面224枚では制震が6枚で免震は0枚
当社が集めたレインズの販売図面224枚も調べました。制震の記載は6枚(2.7%)、免震は0枚、耐震等級3の記載は14枚(6.3%)でした。
このデータの注意点
当社の物件データは94.9%(1,272件)が飯田グループ6社の物件で、関西の建売全体の割合ではありません
特記事項は選択式の欄で、制震が付いていても選ばれていない物件があります
件数は販売資料の記載を数えたもので、建物を調べた結果ではありません
建売で耐震と制震と免震を確かめる4つの手順


建売の地震への強さは、耐震等級を先に、制震をあとに確かめます。契約の前に、次の順番で書類をそろえてください。
| 手順 | 見る書類 | 確かめること |
|---|---|---|
| ① 耐震等級 | 設計住宅性能評価書・建設住宅性能評価書 | 等級3か2か、免震建築物か |
| ② 制震 | 設備仕様書・図面 | ダンパーの名前・本数・位置 |
| ③ 時期 | 建築確認済証の日付 | 制震が標準になった後の物件か |
| ④ 地盤 | 地盤調査報告書 | 地盤補強の有無と方法 |
評価書がない建売では、「耐震等級3相当」という言い方になることがあります。相当の家は、地震保険やフラット35Sの割引に使える書類がないことがあるので注意してください。
引渡しの前に専門家に見てもらう方法はホームインスペクションとは?費用相場と新築の建売で見る場所を解説で解説しています。



制震ダンパーの本数や位置は、壁を閉じてしまうと確かめられません。工事中の写真が残っているかを売主に聞いておくと安心です。
制震と免震に関するよくある質問


- 制震と免震はどちらが地震に強いですか。
-
揺れを小さくする力は免震が上です。ただ建売ではほとんど選べないので、耐震等級と制震の組み合わせで比べるのが現実的です。
- 制震ダンパーが付いていれば耐震等級3と同じですか。
-
同じではありません。住宅性能評価書に制震の項目はなく、制震ダンパーで耐震等級が上がるわけではありません。
- 制震ダンパーで地震保険は安くなりますか。
-
安くなりません。地震保険の割引は免震建築物と耐震等級、耐震診断、建築年の4種類です。
- 免震の家にメンテナンスは要りますか。
-
要ります。住宅性能評価では、免震建築物としての性能を保つための維持管理のルールがあるかも確かめます。
- 免震の家は耐震等級が付かないのですか。
-
免震建築物と確認された家は、耐震等級の表示をしないことになっています。
- 中古で買った家に制震を後から付けられますか。
-
耐震補強の工事で制震装置を使う方法があります。ただし壁を開ける工事になるので、新築の建売なら最初から付いているかを確かめるほうが確実です。
制震と免震の違いのまとめ|建売は耐震等級を確かめてから制震を見る


最後にまとめます。制震は揺れを吸収し、免震は揺れを伝えにくくする仕組みで、どちらも土台は耐震です。
- 制震は壁の中のダンパー、免震は基礎と建物の間の装置
- 揺れを小さくする力は免震が上だが、建売ではほとんど見かけない
- 住宅性能評価書に免震は載るが、制震の項目はない
- 地震保険の50%割引とフラット35Sの金利Aプランは耐震等級3か免震
- 実大7棟の実験では、制震装置の有無で損傷に大きな差は出なかった
- 関西の建売の販売資料で制震の記載は2.5%で、書いていなくても付いていることがある
「制震付き」という言葉より、耐震等級を書類で確かめられるかのほうが大事です。
当社は新築の建売を仲介手数料0円でご案内しています。物件の良いところも気になるところも、買主の側に立ってそのままお伝えします。ご希望があれば、気になる建売の評価書や仕様書を一緒に確かめることもご相談ください。
新築一戸建て・建売を買うとき、仲介手数料は0円になります。物件価格が上がるほど、差は大きくなります。
| 物件価格 | 通常の仲介手数料(税込) | ラクチン不動産 |
|---|---|---|
| 2,500万円 | 89万1,000円 | 0円 |
| 3,000万円 | 105万6,000円 | 0円 |
| 3,500万円 | 122万1,000円 | 0円 |
| 4,000万円 | 138万6,000円 | 0円 |
| 4,500万円 | 155万1,000円 | 0円 |
なぜ0円にできるのか
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