瓦屋根のメリット・デメリット|スレートとの寿命・重さの違いと地震への備え

瓦屋根のメリット・デメリット。スレートとの寿命・重さの違いと地震への備え

瓦屋根の家は長持ちすると聞きました。でも建売はスレートや金属の屋根ばかりで、瓦じゃないと損なのか迷っています。

屋根材は、あとから気軽に替えられないので迷いますよね。

「瓦にしておけばよかった」と後悔したくない気持ちも分かります。

先に結論を言います。瓦屋根のメリットは、塗り替えがいらず長く使えることです。

その代わり、瓦はスレートの約1.5倍、金属板の約3.2倍の重さがあり、そのぶん地震に備える壁が多く要ります。

屋根材だけで家を選び、重さに見合った壁があるかを確かめないと、地震への備えが足りない家を買うことにもなりかねません。

避け方は、屋根材の種類と製品名を仕様書で確かめ、その重さを入れて耐震の計算をしているかを売主に聞くことです。

この記事では、建築基準法施行令の重さの数字と、国の手入れの目安、関西の販売図面224枚の当社集計を使って、瓦屋根とスレート屋根の違いをまとめます。

この記事で分かること

瓦屋根のメリットとデメリット

瓦・スレート・金属板の重さを国の数字で

2025年4月から変わった壁の量の決め方

台風に備える瓦の留め付けの基準

スレート屋根の寿命と塗り替えの時期

関西の建売で使われている屋根材

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目次

瓦屋根のメリットは塗り替えがいらず長く使えること

瓦屋根のメリットは塗り替えがいらないことと部分交換ができること

瓦は、粘土を焼いてつくる屋根材です。

スレートや金属板のように表面を塗料で守る屋根材ではないので、塗り替えの手入れがいりません。

セメントでつくる瓦は塗装で守るので、この記事の瓦は粘土瓦の話です。

屋根材材料表面の塗り替え
瓦(粘土瓦)粘土を焼いたものいらない
スレートセメントを薄い板にしたもの約15年ごと(国の目安)
金属板(ガルバリウム鋼板など)さびにくくめっきした鋼板製品の仕様で変わる
屋根材3つの違い(国総研 維持管理指針(案)をもとに当社作成)

瓦屋根は割れた1枚だけを差し替えられる

瓦は1枚ずつ並べて留めていく屋根材です。

飛来物などで割れても、割れた瓦だけを差し替えて直せるのも瓦の長所です。

瓦屋根でも下ぶきの防水シートは傷む

ただし、屋根の雨を最後に止めているのは瓦ではなく、その下に敷く下ぶき(防水のシート)です。

国の設計施工基準は、下ぶきにアスファルトルーフィング940以上を使い、重ねの幅を決めています。

瓦が長持ちしても、下ぶきや棟の部材は点検して手を入れるものと考えておきましょう。

屋根の形ごとの雨の流れ方は切妻屋根とは?屋根の形の種類6つとメリットとデメリットとけらばと棟の点検を建売で解説で解説しています。

瓦とスレートと金属板の重さを国の数字で比べる

瓦とスレートと金属板の屋根1平方メートルあたりの重さの比較

屋根材の重さは、建築基準法施行令84条に、屋根1㎡あたりの数字で決められています。

屋根材屋根1㎡あたりkgに直すと瓦と比べると
瓦(ふき土なし)640N約65kg―
スレート(厚形スレートぶき)440N約45kg約7割
金属板(薄鉄板ぶき)200N約20kg約3割
屋根材の重さ(建築基準法施行令84条・下地とたるきを含む)

瓦屋根は金属板の約3.2倍、スレートの約1.5倍の重さです。

スレートの440Nは施行令の「厚形スレートぶき」の数字で、国の必要壁量のツールもスレート屋根にこの数字を当てています。

昔の家のように瓦の下に土を敷く「ふき土あり」だと、980Nまで重くなります。

8m×10mの家なら瓦屋根は金属板より約3.9t重い

平面8m×10mの2階建て、4寸勾配の屋根(面積約86.2㎡)で、当社が屋根全体の重さを計算しました。

屋根材屋根全体の重さ金属板との差
瓦約5.6t約3.9t重い
スレート約3.9t約2.1t重い
金属板約1.8t―
屋根全体の重さ(屋根面積86.2㎡・軒の出を除いた当社試算)

乗用車およそ2〜3台分の重さが、瓦屋根かどうかで家のいちばん上に加わることになります。

瓦屋根に太陽光を載せると金属板の4倍を超える

国の必要壁量の表計算ツールは、屋根全面の太陽光パネルを屋根1㎡あたり200Nとして見込んでいます。

金属板に太陽光を載せても400Nで、太陽光なしのスレート(440N)より軽く収まる計算です。

瓦に太陽光を載せると840Nになり、金属板の4倍を超えます。

太陽光を付けるかどうかの判断は新築の太陽光はいらない?建売で後悔する人と元が取れる年数とオール電化と蓄電池の電気代で解説しています。

瓦屋根のデメリットは重さと建売で選べないこと

瓦屋根のデメリットは重さと勾配と建売で選べないこと

瓦屋根のデメリットは、ほとんどが重さから出てきます。

地震の力は建物の重さに比例して大きくなるので、重い屋根ほど、揺れに耐える壁を多く入れる必要があるからです。

瓦屋根は壁の量が足りていれば地震に弱いわけではない

「瓦屋根は地震に弱い」と言われることがあります。

正しくは、重さに見合った壁の量が足りない家が弱いのであって、瓦でも壁が十分なら設計どおりの強さが出ます。

同じ間取りなら、瓦のほうが壁を増やすか、強い壁にする必要があるということです。

瓦屋根の建売を探すのは難しい

当社が集計した関西の販売図面では、瓦と書かれた図面は1枚もありませんでした(後の章で詳しく見ます)。

瓦屋根にこだわるなら、建売では選べる物件がかなり限られると考えておきましょう。

じゃあ、スレートや金属の建売を買うのは損なんですか。

ラクチン君

損ではありません。軽い屋根は壁の量に余裕が出やすく、そのかわり塗り替えの手入れが要ります。どちらを選ぶかより、手入れの予算と耐震の計算を確かめることが大事ですね。

2025年4月から屋根の重さを入れて壁の量を決めるようになった

2025年4月から屋根の重さに応じて必要な壁の量を計算する見直し

木造2階建ての家は、地震に耐える壁の量(必要壁量)を建築基準法施行令46条で決めます。

これまでは、瓦屋根もスレートも「軽い屋根」と「重い屋根」の2つに分けるだけで、必要な壁の量を出していました。

2025年3月まで2025年4月から
屋根の扱い軽い屋根か重い屋根かの2区分瓦・スレート・金属板の重さを入れて計算
ほかに入れるもの―外壁の仕様・断熱材・太陽光・階の高さ
確かめ方床面積に区分ごとの数字を掛ける算定式・早見表・表計算ツール
壁量の基準の見直し(国土交通省 壁量等の基準に関する補足資料 令和6年7月)

国は見直しの理由に、断熱の強化や太陽光で、家が昔より重くなっていることを挙げています。

2025年4月前後に着工した瓦屋根の建売は基準が違うことがある

改正には1年間の経過措置があり、その間は前の基準で建てることもできました。

ラクチン君

瓦屋根の建売は重さの影響が大きいので、どちらの基準で壁の量を計算したかを必ず確かめましょう。

建売を比べるときは、いつ工事を始めた家か、どちらの基準で壁の量を計算したかを売主に聞いておくと安心です。

耐震等級で強さを確かめる方法は建売の耐震等級は1が多い?耐震等級3との違いと地震保険の割引と確かめ方を解説にまとめています。

台風に備える瓦の留め付けは2022年1月から全部の瓦に広がった

2022年1月から新築の瓦屋根は全ての瓦を留め付ける基準になった

瓦屋根の弱点として、台風で瓦が飛ぶことを心配する人もいます。

国は2019年の房総半島台風での瓦の被害を受けて、2022年1月以降に工事を始める新築の瓦屋根は、すべての瓦を留め付けるよう基準を改めました。

部位改正前2022年1月から
軒・けらば端から2枚まですべての瓦を3本のくぎ等で留める
棟(むね)1枚おきすべての瓦をねじで留める
平部留め付けの対象外すべての瓦をくぎ等で留める
瓦屋根の留め付けの基準(国土交通省 瓦屋根の強風対策パンフレット)

瓦屋根も関西の台風21号級の風を前提に点検する

気象庁の災害時気象報告によると、2018年の台風第21号では大阪市で最大瞬間風速47.4m/sを観測しました。

大阪府内の住家の一部損壊は5,213棟と報告されています(大阪府調べ)。

スレートや金属板の屋根でも、棟を覆う板金の留め付けと、台風のあとの点検が大事な点は同じです。

スレート屋根の寿命は塗り替え約15年と葺き替え約50年が国の目安

スレート屋根の寿命は塗り替え約15年と葺き替え約50年が国の目安

国土技術政策総合研究所の戸建て木造住宅の維持管理指針(案)は、スレート屋根は約15年ごとに塗り替え、50年ごとに葺き替えることを目安としています。

同じ資料は、塗り替えの時期はコケの付き具合で変わるとしています。

屋根材国の資料にある手入れ見る場所
スレート約15年ごとに塗り替え・約50年ごとに葺き替えコケ・割れ・棟板金の浮き
瓦点検してずれ・割れを直すずれ・はがれ・浮き・割れ
金属板製品の保証の条件で決まるさび・棟板金の浮き
屋根材ごとの手入れの目安(国総研 維持管理指針(案)をもとに当社作成)

スレート屋根は塗り替えの費用を積み立てておく

スレートの建売を買うなら、15年前後で屋根の塗り替えがあると考えて、外壁の塗り替えとあわせて予算に入れておきます。

足場を組むのは外壁と同じなので、屋根と外壁を一度に塗ると足場の費用が1回で済みます。

30年の手入れの年表は建売のメンテナンス費用は30年でいくら?外壁の塗り替え時期と給湯器の交換と修繕積立の考え方にまとめています。

スレート屋根の建売で予算に入れること

築15年前後の屋根の塗り替え(外壁と同時なら足場は1回)

台風のあとの棟板金の浮きの点検

築50年前後の葺き替え(国の目安)

新築のスレートに石綿入りの製品は使われていない

古いスレートに石綿(アスベスト)が入っていたと聞いて、心配になる人もいます。

石綿を重さの0.1%を超えて含む製品は、労働安全衛生法施行令で2006年9月から製造も使用も禁じられているので、新築の建売のスレートに石綿入りの製品は使われていません。

【当社集計】関西の建売の販売図面224枚で瓦屋根の記載は0枚だった

関西の建売の販売図面224枚に書かれた屋根材の当社集計

当社がレインズの販売図面224枚を数えたところ、屋根材を書いた図面は18枚(8.0%)しかありませんでした。

屋根材枚数内訳
ガルバリウム鋼板10枚うち8枚が3階建て
スレート8枚うち5枚が2階建て
瓦0枚―
記載なし206枚―
関西の建売の販売図面に書かれた屋根材(当社集計・販売図面224枚)

3階建てに金属板が多いのは、建物が高いぶん、上を軽くしたい事情が考えられます。

物件データにも瓦屋根かどうかの項目がない

当社の物件データ1,340件には、屋根材を記録する項目がなく、構造は「木造」とだけあります。

物件データは飯田グループの物件が多く、関西の建売全体の割合とは限りません。

それでも、屋根材は広告からはほとんど分からず、仕様書を出してもらって確かめる情報だと言えます。

建売の契約前に屋根材を確かめる4つのこと

建売で屋根材を仕様書と保証書で確かめる方法

屋根材は、契約の前に売主に聞けば答えてもらえる情報です。

屋根材を売主に聞くときの4つの質問

屋根材の種類と製品名は何か

屋根材と下ぶきの保証の年数と、点検の条件は何か

屋根の重さを入れて耐震の計算(壁量や耐震等級)をしているか

太陽光を後から載せる場合に、重さの余裕はあるか

製品名が分かれば、メーカーの資料で塗り替えの時期や保証の条件を調べられます。

平らな屋根や片流れの屋根の防水の点検は陸屋根のデメリットは?雨漏りしやすい場所と防水の点検と片流れ屋根の雨漏りの原因を建売で解説で解説しています。

屋根からの雨漏りは引渡しから10年は売主が直す

屋根は品確法施行令で雨水の浸入を防止する部分とされています。

新築なら、引渡しから10年のあいだに屋根から雨漏りすれば、屋根材の種類にかかわらず売主が直す責任を負います。

雨漏りしやすい場所は新築の雨漏りの原因は?建売で多い6つの場所と10年保証で直せる範囲と火災保険が使えるかで、保証の範囲は建売の保証期間は何年?新築の瑕疵担保責任10年とアフターサービスと最長60年保証の条件で詳しく解説しています。

瓦屋根に関するよくある質問

瓦屋根のよくある質問と答え
瓦屋根のメリットは何ですか。

表面を塗料で守る屋根材ではないので、塗り替えがいらないことです。割れたときに1枚ずつ差し替えられるのも長所です。

瓦屋根は地震に弱いですか。

瓦が重いぶん、地震に耐える壁が多く必要になります。重さに見合った壁があれば、瓦でも設計どおりの強さが出ます。

瓦はスレートや金属板より何倍重いですか。

建築基準法施行令84条の数字で、瓦は屋根1㎡あたり640N、スレートは440N、金属板は200Nです。瓦は金属板の約3.2倍です。

スレート屋根の寿命はどのくらいですか。

国総研の維持管理指針(案)は、約15年ごとに塗り替え、50年ごとに葺き替えることを目安としています。

瓦屋根は台風で飛びませんか。

2022年1月以降に工事を始める新築の瓦屋根は、すべての瓦を留め付ける基準になっています。

屋根から雨漏りしたら保証で直りますか。

屋根は品確法施行令で雨水の浸入を防止する部分とされ、新築なら引渡しから10年は売主が直す責任を負います。

瓦屋根は長持ちする反面で重い|屋根材より壁の量で選ぶ

瓦屋根のメリットとデメリットとスレートの寿命のまとめ

最後にまとめます。

瓦屋根は塗り替えがいらず長く使える反面、重いぶん地震に備える壁が多く要る屋根材です。

瓦屋根とスレート屋根のまとめ
  • 瓦は塗り替えがいらず、割れた1枚だけを差し替えられる
  • 重さは屋根1㎡あたり瓦640N・スレート440N・金属板200N
  • 2025年4月から、屋根の重さを入れて必要な壁の量を計算する
  • 2022年1月から、新築の瓦屋根はすべての瓦を留め付ける
  • スレートは約15年ごとに塗り替え、約50年ごとに葺き替えが国の目安
  • 関西の販売図面224枚で瓦は0枚、屋根材の記載は18枚だけ

屋根材の良し悪しより、重さに見合った壁があるかと、手入れの予算で家を選ぶのが後悔しない考え方です。

寄棟屋根の特徴は寄棟屋根とは?メリットとデメリットと雨漏りしやすい隅棟と谷と太陽光と北側斜線との関係を建売で解説で解説しています。

当社は新築の建売を仲介手数料0円でご案内しています。買主の側に立って、物件の良いところも気になるところもそのままお伝えします。ご希望があれば、仕様書の取り寄せや、屋根材と耐震の計算を売主に確かめるお手伝いもします。

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この記事の監修者

株式会社GEEZ 宅地建物取引士(大阪府 第118737号)として、大阪・兵庫・京都を中心に、不動産売買の実務に携わっています。
不動産売却・相続不動産・空き家・買取と仲介の比較**を主な専門分野とし、物件の査定から売却方法の提案、契約まで対応しています。
ラクチン不動産の記事についても、実際の不動産取引経験と宅地建物取引士としての知識をもとに執筆・監修しています。

**所属:株式会社GEEZ**
宅地建物取引業免許:大阪府知事(2)第62068号

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