
気になる建売の場所を昔の地図で見たら、工場のような建物が建っていました。土地の地歴は気にしたほうがいいのでしょうか。
きれいな分譲地でも、昔の使われ方は見ただけでは分かりませんよね。
先に結論を言います。地歴は土地の過去の使われ方のことで、土壌汚染と地盤の2つの心配を見分ける手がかりになるので、調べておく価値があります。
土壌汚染の区域に入っている土地は、契約の前の重要事項説明で説明されます。ただし区域に入っていなければ説明の対象にならないので、昔の使われ方を自分で確かめずに買うと、引渡しのあとで工場や池の跡だったと知ることになりかねないのです。
避け方は、国の空中写真と昔の地図で土地の過去を調べ、気になる点を契約の前に売主へ聞くことです。
この記事で分かること
地歴で分かる2つのこと(土壌汚染と地盤)
土壌汚染対策法の2つの区域と、届出が要る3,000㎡の広さ
全国の土壌汚染の調査の実数(令和5年度)
自分で地歴を調べる3つの方法
関西の新築建売1,340件の造成前の地形の内訳
地歴とは|土地の過去の使われ方で分かる土壌汚染と地盤の2つのこと


地歴(ちれき)は、土地がこれまでどう使われてきたかという履歴のことです。土壌汚染の調査では、最初に行う「土地利用の履歴等調査」を指して使われます。
建売を買う人にとって、地歴で確かめたいことは2つに分けられます。
| 確かめたいこと | 気になる昔の使われ方 | 関係する決まり |
|---|---|---|
| 土壌汚染 | 工場・作業場・ガソリンスタンド・クリーニング店など | 土壌汚染対策法・府県の条例 |
| 地盤 | 田んぼ・池・沼・川の跡・谷を埋めた土地 | 建築基準法19条(地盤の改良など) |
土壌汚染は昔の工場などの跡、地盤は昔の田んぼや池の跡を見ると考えると、何を調べればよいかがはっきりします。
1区画の建売の買主が地歴調査を頼む場面は多くない
土壌汚染の専門の調査会社に頼む地歴調査は、工場跡地などの大きな取引で使われるものです。1区画の建売の買主なら、まず国の地図と書類で自分で見当をつけ、売主に聞くところから始めれば足ります。
地歴で確かめる土壌汚染の2つの区域|要措置区域と形質変更時要届出区域は台帳で見られる


土壌汚染が分かった土地は、都道府県知事(政令市は市長)が区域に指定します。区域は2種類です。
| 区域 | 意味 | 土地でできること |
|---|---|---|
| 要措置区域(6条) | 健康被害のおそれがあり、汚染の除去などの措置が必要な区域 | 原則として土地の形質の変更ができない(9条) |
| 形質変更時要届出区域(11条) | 汚染はあるが、健康被害のおそれがない区域 | 掘るなどの工事の14日前までに届出が要る(12条) |
要措置区域は対策が要る区域、形質変更時要届出区域は掘る前に届け出る区域という違いです。
区域の台帳は誰でも閲覧できて知事は正当な理由なく断れない
知事は区域の台帳を作って保管し、閲覧を求められたら正当な理由がなければ拒めないと法律で決まっています(15条)。指定が解除された区域の台帳も残るので、過去に区域だったかどうかも確かめられます。



区域に入っている土地の建売は、買わないほうがいいのでしょうか。



形質変更時要届出区域は、健康被害のおそれがない区域です。ただ将来の建て替えで掘るときに届出が要るので、買う前に区域の範囲と内容を台帳で確かめておきましょう。
地歴が問われる土地の広さは3,000㎡以上|工場の敷地は900㎡で大阪府は条例で使用履歴まで求める


土壌汚染対策法4条は、一定の広さ以上の土地を掘ったり盛ったりする人に、着手の30日前までの届出を求めています。その広さは、施行規則22条で決まっています。
| 土地 | 届出が要る形質の変更の面積 |
|---|---|
| 一般の土地 | 3,000㎡以上 |
| 有害物質使用特定施設がある、または廃止された工場などの敷地 | 900㎡以上 |
1区画の建売を買う人が、自分でこの届出をする場面はほぼないと考えてかまいません。届け出るのは、大きな土地をまとめて造成する分譲の事業者のほうです。
大阪府は条例で土地の使用履歴の調査と報告を求めている
大阪府は生活環境の保全等に関する条例で、法と同じ広さの形質の変更について、管理有害物質の使用履歴などを調べて報告するよう求めています(条例81条の5第1項)。
つまり大阪府で3,000㎡以上の分譲地を造成するときは、事業者が造成の前に地歴を調べて府に報告する決まりになっているということです。府の案内では、届出は形質の変更の30日前までとされています。
全国の土壌汚染の調査の実数|令和5年度は報告1,509件で区域指定は588件


環境省は毎年、土壌汚染対策法の施行状況をまとめています。令和5年度(2023年4月〜2024年3月)の数字は次のとおりです。
| 項目 | 件数 |
|---|---|
| 土壌汚染状況調査の結果報告 | 1,509件 |
| うち 工場などの施設の廃止のとき(3条) | 598件 |
| うち 3,000㎡以上の形質の変更のとき(4条) | 698件 |
| うち 自主的な調査で区域の指定を申請(14条) | 212件 |
| 区域の指定 | 588件 |
| うち 要措置区域 | 71件 |
| うち 形質変更時要届出区域 | 517件 |
区域に指定された588件のうち517件は、健康被害のおそれがない形質変更時要届出区域だったことになります。平成22年4月からの区域の指定の累計は6,938件です。
調査の報告は工場の廃止のときと大きな造成のときが多い
報告の内訳を見ると、工場などの施設の廃止のとき(3条)が598件、3,000㎡以上の形質の変更のとき(4条)が698件でした。調査の報告の約86%は、工場の廃止か3,000㎡以上の造成をきっかけにしていることになります。
大きな分譲地は造成の面積が広いので、4条の届出の対象になりやすい土地です。その場合は、事業者が造成の前に地歴を確かめていることがあります。
区域の数字の読み方
区域に指定された土地の多くは、健康被害のおそれがない形質変更時要届出区域
要措置区域は、令和5年度の指定で71件
台帳には指定が解除された区域も残る
区域に指定されるのは、全国で年に600件ほどです。工場の多い地域の分譲地なら、造成の前に調べた結果がどうだったかを聞いておくと安心です。
地歴の調べ方|空中写真と旧版地図と閉鎖登記簿で昔の使われ方を見る


1区画の建売の地歴は、次の3つでかなりの見当がつきます。地歴を専門の会社に頼む前に、まずここから始めてください。どれも個人で使える方法です。
| 調べ方 | 分かること | どこで見るか |
|---|---|---|
| 空中写真 | 昔の土地の様子(田んぼ・池・工場の屋根など) | 国土地理院の地理院地図の年代別の写真 |
| 旧版地図 | 昔の建物や土地の使われ方の記号 | 国土地理院の地図・空中写真閲覧サービスや窓口 |
| 閉鎖登記簿 | 昔の地目や所有者(会社名など) | 法務局で閉鎖事項証明書などを請求 |
国土地理院は、測量法に基づいて昔の地図を閲覧・交付しています。地図・空中写真閲覧サービスで検索でき、窓口でも見られます。
登記簿は、いまの登記事項証明書だけでなく、昔の地目や会社名の所有者が分かる閉鎖登記簿も手がかりになるのです。登記事項証明書の取り方は登記事項証明書の取り方は?窓口とオンラインの手数料と地番の調べ方と登記簿謄本の見方を建売の買主向けに解説で、地目の見方は地目変更とは?期限と費用と宅地に変える手続きと地目が田や畑のままの建売で確かめることを解説で解説しています。
土壌汚染の区域は都道府県か政令市の台帳で確かめる
土壌汚染の区域に入っているかは、都道府県か政令市の環境の窓口で台帳を見ます。公式サイトで区域の一覧を公表している自治体もあります。
自分で調べるときの限界
地図と写真で分かるのは、大まかな土地の使われ方
小さな作業場や埋めた物までは写らないことがある
心配が残るなら、売主に造成のときの調査の有無を聞く
地歴で分かる田んぼや池の跡と地盤|関西の建売の31.1%は湿りやすい低い土地


地歴は土壌汚染だけでなく、地盤の手がかりにもなります。地歴で昔の田んぼや池が見つかったら、地盤の書類を見る合図です。建築基準法19条2項は、湿った土地や埋め立てた土地に建てるときは、盛土や地盤の改良などの措置を求めています。
当社の物件データでは、建売ごとに造成前の地形の分類が入っています。関西の新築建売1,340件を数えると、次のとおりでした。
| 造成前の地形 | 件数 | 割合 |
|---|---|---|
| 後背湿地・谷底低地・三角州・干拓地・旧河道 | 417件 | 31.1% |
| 台地 | 345件 | 25.7% |
| 丘陵・山地 | 253件 | 18.9% |
| そのほか(扇状地・自然堤防など) | 325件 | 24.3% |
関西の建売のおよそ3件に1件は、昔は田んぼや湿地になりやすい低い土地だったということです。
| 府県 | 湿りやすい低い土地の割合 |
|---|---|
| 和歌山県 | 58.3%(14件/24件) |
| 京都府 | 43.6%(44件/101件) |
| 滋賀県 | 32.7%(54件/165件) |
| 奈良県 | 31.8%(88件/277件) |
| 兵庫県 | 28.9%(117件/405件) |
| 大阪府 | 27.2%(100件/368件) |
京都府と和歌山県では、建売の4割を超える物件が湿りやすい低い土地の地形の分類に当たる結果でした。府県で差が大きいので、府県の平均より自分の候補の物件の地形を見てください。
湿りやすい低い土地で確かめること
地盤調査報告書で、測った地点ごとの強さに差がないか
地盤改良をしたなら、その工法と深さ
浸水の想定と、敷地が道路より高いか
数字は地形の分類で田んぼだったかどうかそのものではない
この分類は造成前の地形で、その敷地が田んぼや池だったことを直接示すものではありません。また当社の物件データは、飯田グループ6社の物件が大半を占めます。417件でも、一建設が163件、アーネストワンが108件でした。
田んぼや池の跡でも、地盤調査で強さを測り、足りなければ改良してから建てるのが今の家です。地盤の確かめ方は切土と盛土の違いとは?地盤の強さと境目の不同沈下と大規模盛土造成地の調べ方を関西の建売で解説と地盤改良の費用はいくら?柱状改良と表層改良と鋼管杭の違いと地盤保証を建売と注文住宅で比べるで、液状化の傾向は建売は地盤調査してない?関西1356件を地形で調べた液状化の割合と確かめ方で解説しています。
建売で地歴を確かめる順番|重要事項説明書と売主に聞く4つのこと


土壌汚染の区域は、宅建業法の施行令3条で重要事項説明の対象になっています。要措置区域の形質の変更の禁止(9条)と、形質変更時要届出区域の届出(12条)がその中身です。
区域に入っていない土地は、昔の使われ方が説明されないこともあるので、次の4つは自分から聞いてください。
| 聞くこと | 確かめる中身 |
|---|---|
| 前の使い方 | 分譲地になる前は工場・田んぼ・池などだったか |
| 調査の有無 | 造成の前に地歴や土壌の調査をしたか、その結果 |
| 区域の記載 | 重要事項説明書に土壌汚染対策法の区域の記載があるか |
| 地盤の書類 | 地盤調査報告書と、改良したならその施工報告書 |
重要事項説明書の土壌汚染の欄は区域の種類と範囲を見る
重要事項説明書の法令の欄に土壌汚染対策法の記載があれば、どちらの区域かと、敷地のどこまでが区域かを確かめます。区域が要措置区域なら原則として掘れず、形質変更時要届出区域なら掘る14日前に届出が要るという違いがあるからです。
説明を受ける前に、重要事項説明書の案を契約の数日前にもらい、区域の欄を読んでおくと、当日に落ち着いて質問できます。
関西の建売で土壌汚染対策法の記載があったのは7件
当社の物件データで法令の欄を見ると、土壌汚染対策法の記載は1,340件中7件でした。7件とも、神戸市須磨区の同じ分譲地の物件です。
販売資料に土壌汚染対策法の記載があるのはまれで、ない物件のほうがふつうと言えます。記載がなくても、昔の使われ方は聞いてかまいません。埋蔵文化財の届出も同じく土地の過去に関わるので、埋蔵文化財包蔵地とは?家を建てるときの届出と60日の期限と調査費用と建売で確かめることを関西の実数で解説もあわせて見てください。



昔の使われ方を聞いても、売主は答えてくれますか。



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地歴に関するよくある質問


- 建売を買うときに地歴調査は義務ですか。
-
買主に地歴調査の義務はありません。土壌汚染対策法の届出が要るのは3,000㎡以上(工場の敷地は900㎡以上)の形質の変更をする人で、1区画の買主が当たることはほぼありません。
- 地歴は自分で調べられますか。
-
国土地理院の空中写真と昔の地図、法務局の閉鎖登記簿で、大まかな使われ方は自分で調べられます。土壌汚染の区域は、都道府県か政令市の台帳で確かめます。
- 田んぼだった土地の建売は大丈夫ですか。
-
田んぼの跡というだけで避ける必要はありません。地盤調査の結果と、改良をしたかを書類で確かめてください。
- 土壌汚染の区域に入っている土地は買えますか。
-
買えます。形質変更時要届出区域は健康被害のおそれがない区域です。ただし将来掘るときに届出が要るので、台帳で区域の範囲と内容を確かめておきましょう。
- 重要事項説明で地歴は説明されますか。
-
土壌汚染対策法の区域に入っていれば説明されます。区域外の土地の昔の使われ方は説明の対象ではないので、気になるなら売主に聞いてください。
地歴は土壌と地盤に分けて調べる|押さえる4つのこと


最後にまとめます。地歴を怖がるより、土壌と地盤に分けて昔の使われ方を調べ、契約の前に売主に聞くというのが結論です。
- 地歴で分かるのは、土壌汚染と地盤の2つの心配
- 土壌汚染の区域は台帳で誰でも閲覧でき、重要事項説明の対象になる
- 自分で調べるなら、空中写真と旧版地図と閉鎖登記簿
- 関西の建売の31.1%は湿りやすい低い土地なので、地盤の書類も見る
当社は新築の建売を仲介手数料0円でご案内しています。物件の良いところも気になるところも、買主の側に立ってそのままお伝えします。ご希望があれば、分譲地の昔の使われ方や地盤の書類を、契約の前に一緒に確かめることもご相談ください。
浸水の想定もあわせて見たい場合は重ねるハザードマップの見方|使い方と浸水深の色の意味と想定最大規模と重要事項説明の地図との違いを建売で解説を、周辺の地盤の傾向は地盤サポートマップの見方|地耐力の4区分と液状化5段階の意味と分からないことを建売の買主向けに解説を、内見の流れは建売の内覧チェックポイント|見る順番と持っていくものを参考にしてください。
新築一戸建て・建売を買うとき、仲介手数料は0円になります。物件価格が上がるほど、差は大きくなります。
| 物件価格 | 通常の仲介手数料(税込) | ラクチン不動産 |
|---|---|---|
| 2,500万円 | 89万1,000円 | 0円 |
| 3,000万円 | 105万6,000円 | 0円 |
| 3,500万円 | 122万1,000円 | 0円 |
| 4,000万円 | 138万6,000円 | 0円 |
| 4,500万円 | 155万1,000円 | 0円 |
なぜ0円にできるのか
仲介会社は、売主と買主の両方から報酬を受け取ることができます。新築の建売は売主が不動産会社なので、売主から報酬が支払われます。そのぶん、買主からいただかなくても取引が成り立ちます。
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