
気になる建売の資料に「第1種高度地区」と書いてありました。何が決まっている地区なのか、買ってから困ることはあるのでしょうか。
資料の隅に見慣れない言葉があると、何か問題があるのではと不安になりますよね。
先に結論を言います。高度地区は、市が都市計画で決める建物の高さの上限(または下限)です。
住宅地では、北側の隣の家の日当たりを守るため、北の境界から離れるほど高くできる「0.6の斜線」の形が使われます。
ただし、この斜線は北側斜線より厳しく、天空率でも外せないので、3階建てでは北側の部屋が削られたり、将来の建て替えで同じ大きさの家が建たなかったりすることがあります。
避け方は、買う前に市の計画書で式を確かめ、3階建てなら北の境界から何m空いているかを図面で見ることです。
この記事で分かること
高度地区の意味と、斜線型と絶対高さ型の2つの形
0.6の斜線で北に何m離すかの計算
大阪市・堺市・豊中市・吹田市・神戸市・京都市の違い
3階建ての建売への影響と、当社データで見た記載の数
外せない決まりと、買う前の調べ方
高度地区とは市が都市計画で決める建物の高さの上限と下限


高度地区は都市計画法9条18項で、用途地域の中で「市街地の環境を維持し、又は土地利用の増進を図るため、建築物の高さの最高限度又は最低限度を定める地区」と決められています。
決めるのは市町村で、守らせる根拠は建築基準法58条です。高さが都市計画に合わない建物は、計画書の式を1か所でも超えると確認申請が通らないので、建てられません。
| 種類 | 中身 | 住宅地での使われ方 |
|---|---|---|
| 最高限度 | 高さの上限を決める | 北側の日当たりを守る斜線や、10m・15mなどの上限 |
| 最低限度 | 高さの下限を決める | 駅前や避難路沿いで低い建物を建てさせない |
建売の買主に関係するのは、ほとんどが最高限度のほうです。用途地域と同じく土地ごとに指定されるので、用途地域の調べ方は?市の地図の使い方と13種類の一覧と境目の土地と関西の建売の内訳を解説の方法で一緒に調べられます。
高度利用地区は容積率を決める別の制度で戸建てにはほぼ出てこない
名前が似ている高度利用地区は、駅前などで容積率や建ぺい率を決めて土地を高く使わせる制度で、建築基準法59条の別の決まりです。
戸建ての建売の資料に出てくるのは、ほぼ高度地区のほうだと考えてください。
資料の「第一種高度地区」「第二種高度地区」は市が付けた番号
販売資料には「第一種高度地区」「第二種高度地区」のように番号付きで書かれます。
この番号は市ごとに付けた順番で、第一種が0.6d+5m、第二種が0.6d+10mという市が関西には複数あるものの、決まった全国共通の中身はありません。堺市と豊中市は第一種と第二種がこの式ですが、神戸市の第2種は15mの上限と0.6d+7mです。
高度地区の形は斜線型と絶対高さ型とその組み合わせ


高度地区の決め方は、市によって大きく3つに分かれます。
| 形 | 決め方 | 関西の例 |
|---|---|---|
| 斜線型 | 北の境界からの距離で上限が上がる | 豊中市・堺市の第一種と第二種 |
| 絶対高さ型 | 10m・15m・31mなど数字で上限を決める | 堺市の第五種・第六種 |
| 組み合わせ | 上限の数字と北側の斜線の両方 | 京都市・神戸市・吹田市 |
| 最低限型 | 7m以上・20m以上など下限を決める | 大阪市・神戸市の第8種 |
同じ「第1種高度地区」でも、市が違えば中身はまったく別です。名前だけで判断せず、その市の計画書の式を見る必要があります。



うちの市の第1種と、隣の市の第1種は同じ決まりではないのですか。



違います。たとえば堺市の第一種は0.6の斜線だけですが、神戸市の第1種は10mの上限も付きます。
0.6の斜線の計算|北の境界から何m離せば建てられるか


住宅地の高度地区でよく使われる式は「0.6d+5m」のような形です。dは、建物の各部分から真北の方向に測った、北側の隣地境界線までの水平距離です。
つまり、北の境界の上では5mまで、そこから1m離れるごとに0.6mずつ高くできるという意味です。
| 式 | 高さ8.5mの家 | 高さ9.5mの家 |
|---|---|---|
| 北側斜線(1.25d+5m) | 北に2.8m | 北に3.6m |
| 0.6d+5m | 北に5.83m | 北に7.5m |
| 0.6d+7m | 北に2.5m | 北に4.17m |
| 0.6d+7.5m | 北に1.67m | 北に3.33m |
| 0.6d+10m | 影響なし | 影響なし |
「0.6d+5m」は、同じ5mから始まる北側斜線(1.25の勾配)より、ずっと寝た角度です。高さ8.5mの2階建てでも、一番高い部分を北に5.83m離す計算になります。
実際の建売は屋根を北に向けて下げるので、建物全体を離すわけではありません。北側斜線との比べ方や、屋根が斜めになる理由は北側斜線とは?計算方法と緩和と高度地区の0.6との違いと建売の屋根が斜めになる理由を関西の基準で解説で解説しています。
0.6d+5mは北側斜線の2倍以上の距離を北に空ける
表の8.5mの家では、北側斜線なら2.8mで足りるのに、0.6d+5mでは5.83mです。
同じ土地に両方かかるときは、0.6の斜線のほうが先に効くことが2階建てでも起こります。奥行きの浅い土地では、北側の2階の部屋の天井が斜めになる原因になります。
計算するときの注意
dは真北の方向に測るので、敷地が斜めに振れていると距離が変わる
地盤の高低差がある土地は、市ごとに緩和の式が違う
正確な判定は、確認申請の図面と設計者の計算による
北側が道路なら道路の反対側から測る
京都市や神戸市の計画書では、dは「前面道路の反対側の境界線又は隣地境界線」までの距離です。北側が道路なら、道路の向こう側から測ります。
幅4mの道路が北にあれば、0.6d+5mでも高さ8.5mの部分は道路から1.83m離せば足ります。ほかの市も、この書き方を計画書で確かめてください。
関西の市の高度地区|大阪市には住宅地の上限がない


関西の主な市の高度地区を、計画書から並べました。
| 市 | 住宅地の高度地区 | 特徴 |
|---|---|---|
| 大阪市 | なし(最低限度だけ) | 20m以上と7m以上の2種類だけ |
| 堺市 | 6種類 | 第一種は0.6d+5m、第二種は0.6d+10m |
| 豊中市 | 2種類 | 第1種は0.6d+5m(約611ha)、第2種は0.6d+10m |
| 吹田市 | 3種類 | 10m第一種は10mと0.6d+5m |
| 神戸市 | 8種類 | 第1種は10mと0.6d+5m、第2種は15mと0.6d+7m |
| 京都市 | 10mから31mまで | 高さの上限そのものを段階に決める |
大阪市の資料(令和2年4月時点)では、高度地区は駅前などの20m以上と、避難路沿いの7m以上の最低限度だけです。大阪市の住宅地では、高さは北側斜線や道路斜線と絶対高さで決まると考えてください。
一方、豊中市や吹田市は大阪市と隣り合っていても、0.6の斜線がかかる住宅地があるので、市の境目の物件は特に注意が要ります。
堺市は既存の家の建て替えに特例がある
堺市では、高度地区ができる前からある家の増築や建て替えで、基準時の延べ面積の1.2倍以内などの条件を満たせば、適用を除く決まりがあります。
ほかの市にも似た特例がありますが、条件は市ごとに違います。
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京都市は高度地区で高さの上限そのものを10mから31mに分けている


京都市は、景観を守るため、高さの上限そのものを高度地区で細かく決めています。
| 高度地区 | 高さの上限 | 北側の斜線(例) |
|---|---|---|
| 10m高度地区 | 10m | 0.6d+5m |
| 12m・15m・20m | 12m・15m・20m | 第1種は0.6d+7.5m、第2種は0.6d+10mなど |
| 25m・31m | 25m・31m | 地区ごとに決める |
京都市では、第一種と第二種の低層住居専用地域は全部が10m高度地区です。低層の住宅地はもともと10mの絶対高さ制限があるので、上限は同じでも、0.6の斜線が加わる点が違います。
京都市の10m高度地区では3階建ての北側に7m以上の空きが要る
10m高度地区でも、高さ10m未満の3階建ては建てられます。ただし0.6d+5mの斜線もかかるので、高さ9.5mの部分は北の境界から7.5m離す計算になります。
京都市で3階建ての建売を探すなら、北側の式が0.6d+7.5mか0.6d+10mの、15m以上の高度地区のほうが北側の部屋は削られにくくなります。
景観の決まりが重なる地域は風致地区とは?建ぺい率と高さの制限と景観地区との違いと建売で後悔しない確かめ方を関西の基準で解説も、低層の住宅地の決まりは第一種低層住居専用地域とは?住むメリットとデメリットと建てられる建物と高さ10mと3階建ての制限を関西の建売の実数で解説もあわせてご覧ください。
3階建ての建売への影響|0.6d+5mでは北に7.5m空ける


高度地区がいちばん効いてくるのは、高さが9mを超える3階建てです。
高さ9.5mの家で計算すると、0.6d+5mなら北に7.5m、0.6d+7.5mなら北に3.3m離す必要があります。敷地の奥行きが足りないと、3階の北側の部屋が斜めに削られたり、小さくなったりします。
0.6d+10mの地区なら、10m未満の3階建てには影響しません。3階建ての建売の暮らしやすさは3階建ての建売は後悔する?デメリットと狭小住宅の暑さと老後の階段を関西71件で解説でまとめています。
当社データでは4件に1件の資料に高度地区の記載があった
当社の物件データ(関西の新築建売1,340件・2026年10月22日時点)で、設備欄や備考に高度地区と書かれた物件は365件でした。
| 府県 | 記載あり | 掲載件数 |
|---|---|---|
| 京都府 | 42件 | 101件 |
| 兵庫県 | 144件 | 405件 |
| 奈良県 | 72件 | 277件 |
| 大阪府 | 81件 | 368件 |
| 滋賀県 | 26件 | 165件 |
| 和歌山県 | 0件 | 24件 |
大阪市の物件は31件ありましたが、記載は0件で、市の決まりと一致します。365件のうち3階建ては10件でした。



資料に高度地区と書いていなければ、かかっていないと考えてよいですか。



いいえ。資料の書き方は売主ごとにばらつきがあるので、市の地図で必ず確かめてください。
記載がないことは、高度地区がかかっていないことの証明にはなりません。データは飯田グループの物件が大半を占めるので、関西の建売全体の割合ではない点もご了承ください。
高度地区で外せることと外せないこと|天空率では外せない


北側斜線や道路斜線は天空率という計算で外せますが、高度地区の斜線は天空率では外せません。建築基準法56条7項が対象を道路・隣地・北側の3つに限っているからです。詳しくは天空率とは?計算方法と斜線制限との違いと日影規制で使えない理由と建売の3階建てで変わることを解説で解説しています。
| 項目 | 扱い | 根拠 |
|---|---|---|
| 天空率 | 使えない | 建築基準法56条7項 |
| 北側の水路・線路 | 幅の半分だけ境界を外側とみなす市がある | 各市の計画書 |
| 既存の家の建て替え | 面積などの条件付きで特例がある市がある | 各市の計画書 |
| 屋根の再エネ設備の工事 | 特定行政庁の許可で上限を超えられる | 建築基準法58条2項 |
外せないと覚えておくこと
天空率を使った3階建てでも、高度地区の斜線は残る
緩和は計画書に書かれた分だけで、売主や設計者の判断では外せない
58条2項は、太陽光パネルの設置などで屋根を工事するとき、構造上やむを得ず上限を超える場合に、許可で認める決まりです。新築の建売を高くするための決まりではありません。許可には建築審査会の同意が要ります。
日影規制とは別の決まりなので両方がかかる土地では両方を守る
高度地区と日影規制は別の決まりで、両方がかかる土地では両方を守ります。日影規制は日影規制とは?用途地域ごとの規制時間と測定面と建売の2階建てが対象外になる理由を関西の条例で解説に、道路側の高さは道路斜線とは?計算方法と後退距離の緩和と隣地斜線と絶対高さ制限との違いを建売の3階建てで解説にまとめています。
高度地区の調べ方|市の地図と計画書と重要事項説明


買う前に確かめる3つのこと
市の都市計画の地図で、物件の土地の高度地区の種類を見る
その市の計画書で、種類ごとの式と緩和を読む
図面で、建物の一番高い部分が北の境界から何m離れているかを見る
高度地区は、宅地建物取引業法35条の重要事項説明で、都市計画法と建築基準法の制限として説明されます。契約の前に重要事項説明書の高度地区の欄で種類と式の2点を確かめると、資料との食い違いに気付けます。
建物の高さや配置は、確認申請の図面で分かります。図面の受け取り方は建築確認済証とは?見方と副本と図面の受け取り方と紛失したときの代わりの書類を建売の買主向けに解説で、同じ地図で調べる地区計画は地区計画とは?届出が必要な工事と敷地面積の最低限度と調べ方を関西1,522地区のデータで建売の買主向けに解説で解説しています。
高度地区のよくある質問|高度利用地区と北側斜線と建て替え


- 高度地区と高度利用地区は同じですか。
-
別の制度です。高度地区は高さを決め、高度利用地区は容積率や建ぺい率を決めて土地を高く使わせる制度です。
- 高度地区と北側斜線の両方がかかることはありますか。
-
あります。両方を守る必要があり、結果として厳しいほうが効きます。
- 高度地区の土地だと住宅ローンが組みにくくなりますか。
-
金融機関の審査で重く見られるのは、検査済証があり決まりに合って建てられているかどうかです。高度地区の扱いは金融機関ごとに違うことがあるので、申込みの前に確かめてください。
- 将来の建て替えでは、建てたときの決まりが使えますか。
-
建て替えのときの計画書の決まりが使われます。決まりが変わっていれば、同じ大きさの家が建たないこともあります。
- 高度地区は変わることがありますか。
-
都市計画なので見直されることがあります。堺市も2025年10月に変更しています。
高度地区は市ごとに決まる高さの上限|押さえる4つのこと


最後にまとめます。高度地区は市が決める高さの上限で、住宅地では北側の0.6の斜線が要になるというのが結論です。
- 高度地区は都市計画で決める高さの上限と下限で、建築基準法58条で守らせる
- 0.6d+5mの地区では、高さ9.5mの部分を北の境界から7.5m離す
- 大阪市には住宅地の上限の高度地区がなく、京都市は10mから31mに分けるなど市で違う
- 天空率では外せないので、3階建ては北に何m空いているかを図面で確かめる
当社は新築の建売を仲介手数料0円でご案内しています。物件の良いところも気になるところも、買主の側に立ってそのままお伝えします。ご希望があれば、市の計画書と図面を一緒に見て、高度地区で3階の部屋がどう変わるかを確かめることもご相談ください。
新築一戸建て・建売を買うとき、仲介手数料は0円になります。物件価格が上がるほど、差は大きくなります。
| 物件価格 | 通常の仲介手数料(税込) | ラクチン不動産 |
|---|---|---|
| 2,500万円 | 89万1,000円 | 0円 |
| 3,000万円 | 105万6,000円 | 0円 |
| 3,500万円 | 122万1,000円 | 0円 |
| 4,000万円 | 138万6,000円 | 0円 |
| 4,500万円 | 155万1,000円 | 0円 |
なぜ0円にできるのか
仲介会社は、売主と買主の両方から報酬を受け取ることができます。新築の建売は売主が不動産会社なので、売主から報酬が支払われます。そのぶん、買主からいただかなくても取引が成り立ちます。
ただし、すべての物件が0円になるわけではありません。売主が個人の中古住宅や、売主から報酬が出ない物件は対象外です。売主が不動産会社でも、報酬が半分しか出ない物件があります。
だからこそ、物件名と所在地をお知らせいただければ、0円になるかどうかをその場で無料判定します。判定に必要なのは物件が特定できる情報だけで、お客様の個人情報は要りません。
- 他社のチラシ、ポータルサイト、売主の公式サイトで見つけた物件でも構いません
- すでに内覧した物件でも、申込手続きに入っていなければご案内できます
- 0円にするために、住宅ローンや火災保険の指定はしません
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