
南向きの建売を見つけました。でも南側が空き地で、将来マンションが建たないか心配です。日影規制があるから大丈夫と聞いたのですが、本当ですか。
日当たりは、住んでから変えられない数少ない条件ですよね。
先に結論を言います。日影規制は、隣に建つ中高層の建物が落とす影の時間に上限をかける決まりです。
ただし守ってくれる範囲は思ったより狭く、
規制を守った3階建てやマンションが南に建ち、冬の1階リビングに一日中日が入らなくなることは、法律の上では起こりえます。
避け方は、買う前に、用途地域と規制時間と、南側に高さ10m以下の3階建てが建つ余地を確かめることです。
この記事で分かること
日影規制とは何か(冬至日・8時〜16時・5mと10mのライン)
用途地域ごとの対象の建物と測る高さ
大阪府・大阪市・神戸市・京都府の規制時間
建売の2階建てが日影規制を受けない理由と、関西の建売1,347件の実数
日影規制では守られない日当たりと、買う前に確かめる手順
日影規制とは冬至日に隣の土地へ落とす影の時間の上限


日影規制(ひかげきせい)は、建築基準法56条の2に定められた決まりです。正式には「日影による中高層の建築物の高さの制限」といいます。
高い建物は、北側の土地に長い影を落とします。そこで、隣の土地が日影になる時間に上限を設けて、住宅地の日照を一定以上に保とうとしています。
| 決まり | 中身 |
|---|---|
| 測る日 | 冬至日(1年でいちばん影が長い日) |
| 測る時間 | 真太陽時の午前8時から午後4時までの8時間 |
| 測る場所 | 敷地境界線から5mを超える範囲 |
| 測る高さ | 地面ではなく平均地盤面から1.5mか4m(地域で違う) |
| 上限の時間 | 5mから10mまでと、10mを超える範囲の2段階 |
ポイントは、1年でいちばん影が長い冬至日を基準に測ることです。
日影規制の対象区域と時間は府や市の条例で決まる
建築基準法が決めているのは、選べるメニューまでです。
どの区域を対象にし、何時間を上限にするかは府県や市が決めます。条例の指定しだいで、同じ用途地域でも上限は3時間から5時間まで違うのです。
日影規制は「何mまで」とは書いておらず、北側に広い道路がある敷地ほど高く建てやすくなります。道路の幅の考え方はセットバックとは?42条2項道路と位置指定道路の違いとセットバック幅の計算を解説で解説しています。
日影規制の対象になる建物は用途地域ごとに違う


日影規制がかかるのは、すべての建物ではありません。建築基準法の別表第4が、用途地域ごとに対象の建物を決めています。
| 用途地域 | 対象になる建物 | 測る高さ |
|---|---|---|
| 第1種・第2種低層住居専用地域、田園住居地域 | 軒の高さ7m超、または地上3階以上 | 1.5m |
| 第1種・第2種中高層住居専用地域 | 高さ10m超 | 4mか6.5m |
| 第1種・第2種住居地域、準住居地域 | 高さ10m超 | 4mか6.5m |
| 近隣商業地域、準工業地域 | 高さ10m超 | 4mか6.5m |
| 用途地域の指定のない区域 | 軒7m超か3階以上/高さ10m超(条例で選ぶ) | 1.5m/4m |
| 商業地域、工業地域、工業専用地域 | 対象外 | — |
低層住居専用地域だけは、3階建ての戸建てから対象になります。ほかの住居系の地域では、高さ10mを超える建物だけが対象です。
対象区域の外の建物でも10mを超えれば規制を受ける
商業地域は日影規制の対象外です。ただし56条の2の4項で、対象区域の外にある高さ10m超の建物が、対象区域に影を落とすなら規制を受けると決まっています。
日影規制の測定面は1.5mか4mで敷地境界から5mまでは測らない


日影規制でいちばん誤解されやすいのが、影を測る高さです。影は地面ではなく、平均地盤面から1.5mか4mの高さの水平面で測ります。
1.5mは1階の窓のあたり、4mは2階の床より少し上のあたりです。
| 測る高さ | 使う地域 | 守られるのは |
|---|---|---|
| 1.5m | 低層住居専用地域・田園住居地域 | 1階の窓の高さの日当たり |
| 4m | 中高層住居専用地域・住居系・近隣商業・準工業(関西の多くの区域) | 2階の窓の高さの日当たり |
| 6.5m | 大阪市の準工業地域など | 2階の上から3階の高さの日当たり |
4mで測る地域で日影規制の外になる場所
1階のリビングや和室の窓
南側の庭や駐車場
敷地境界から5m以内の範囲
つまり、4mで測る地域では、1階の窓に落ちる影は規制の外です。1階にリビングがある建売では、ここが大事な違いになります。
敷地境界から5m以内は影ができても規制の対象外
もうひとつの線が、敷地境界線からの距離です。5mまでは測らず、5mから10mまでと10mより先で上限の時間が分かれるしくみです。
隣の敷地のすぐ近く、つまりあなたの家の南側の庭や1階の窓の前は、規制の網がかからない場所になりやすいのです。
関西の日影規制の規制時間|大阪府と大阪市と神戸市と京都府


上限の時間は、条例で選んだ号で決まります。表の時間は「5mを超え10m以内/10mを超える範囲」の順です。
大阪府は容積率ごとに3時間から5時間まで決めている
大阪府建築基準法施行条例69条は、大阪市など独自の条例を持つ市を除いた府内の区域の指定です。
| 用途地域 | 容積率 | 規制時間 |
|---|---|---|
| 低層住居専用地域・田園住居地域 | 50%・60% | 3時間/2時間 |
| 低層住居専用地域・田園住居地域 | 80%・100% | 4時間/2.5時間(一部の区域は3時間/2時間) |
| 低層住居専用地域・田園住居地域 | 150%・200% | 5時間/3時間(一部の区域は4時間/2.5時間) |
| 中高層住居専用地域 | 100%・150% | 3時間/2時間 |
| 中高層住居専用地域 | 200% | 4時間/2.5時間 |
| 中高層住居専用地域 | 300% | 5時間/3時間 |
| 第1種・第2種住居地域・準住居地域 | 200% | 5時間/3時間(第一種高度地区は4時間/2.5時間) |
| 用途地域の指定のない区域 | — | 高さ10m超が対象・4時間/2.5時間 |
府や市に規制時間を聞くときに伝える3つのこと
物件の住所(地番が分かれば地番)
用途地域と指定容積率
高度地区の指定があるかどうか
府の表に近隣商業地域と準工業地域はありません。また住居系の地域で容積率300%以上の区域も載っていないので、府の条例の区域では対象外になります。
大阪市は低層住居専用地域がなく対象は高さ10m超だけ
大阪市は、市の条例で別に決めています。
| 用途地域 | 容積率 | 測る高さ | 規制時間 |
|---|---|---|---|
| 中高層住居専用地域 | 200% | 4m | 4時間/2.5時間 |
| 中高層住居専用地域 | 300% | 4m | 5時間/3時間 |
| 第1種・第2種住居地域・準住居地域 | 200% | 4m | 5時間/3時間 |
| 準工業地域(埋立区域を除く) | 200% | 6.5m | 5時間/3時間 |
大阪市には第1種・第2種低層住居専用地域の指定がないので、日影規制がかかるのは高さ10m超の建物だけです。戸建ての3階建てで高さ10m以下なら、大阪市内ではどこでも対象外ということになります。
神戸市と京都府の日影規制の時間
神戸市は「神戸市民の住環境等をまもりそだてる条例」20条で指定しています。
| 用途地域 | 容積率 | 規制時間 |
|---|---|---|
| 低層住居専用地域 | 80%・100%(すまい・まちなみ形成地区) | 3時間/2時間 |
| 低層住居専用地域 | 100%(その他)・150% | 4時間/2.5時間 |
| 中高層住居専用地域 | 100%・150% | 3時間/2時間 |
| 中高層住居専用地域 | 200%・300% | 4時間/2.5時間 |
| 第1種・第2種住居地域・準住居地域 | 200%/300% | 4時間/2.5時間・5時間/3時間 |
| 近隣商業地域・準工業地域 | 200% | 5時間/3時間 |
京都府は、京都府建築基準法施行条例19条の2と別表で指定しています。近隣商業地域・準工業地域の200%まで対象にしている点が大阪府と違います。京都市内は京都市の窓口で確かめます。
建売の2階建ては日影規制の対象外がほとんど


当社の物件データで、関西の新築建売1,347件の階数と用途地域を数えました。
| 項目 | 件数 | 割合 |
|---|---|---|
| 2階建て | 1,229件 | 91.2% |
| 3階建て | 70件 | 5.2% |
| 平屋 | 43件 | 3.2% |
| 3階建てのうち低層住居専用地域にあるもの | 0件 | 0% |
関西の建売の9割は2階建てでした。木造2階建てなら、軒の高さが7mを超えることはまれで、高さ10mにも届きません。つまり建売の2階建ては、自分の家が日影規制を受けることはまずありません。
3階建て70件のうち、低層住居専用地域に建つものは0件でした。低層住居専用地域では3階建てから日影規制がかかり、高さ10mまでという絶対高さの制限もあるので、売主が3階建てを建てにくいのです。
関西の建売の用途地域は第1種住居地域がいちばん多い
| 用途地域 | 件数 | 割合 |
|---|---|---|
| 第1種住居地域 | 412件 | 30.6% |
| 中高層住居専用地域(第1種・第2種) | 403件 | 29.9% |
| 低層住居専用地域(第1種・第2種) | 313件 | 23.2% |
| 用途地域の指定なし | 74件 | 5.5% |
| 準工業・近隣商業・第2種住居・工業・商業 | 138件 | 10.2% |
低層住居専用地域以外の76.2%の建売は、高さ10m以下の建物なら日影規制がかからない地域に建っています。次の章で書く「守られない日当たり」は、この地域の話です。
当社の物件データは、飯田グループ6社の物件が95.0%を占めています。ほかの売主の物件では傾向が違うこともあるので、目安として見てください。
3階建ての建売は70件のうち52件が大阪府でした。3階建ての住み心地や老後の階段の話は3階建ての建売は後悔する?デメリットと狭小住宅の暑さと老後の階段を関西71件で解説で解説しています。
日影規制では守られない日当たりがある|合法でも暗くなる3つの場合


日影規制は、日当たりを約束する決まりではありません。神戸市も公式の説明で、建築基準法上の最低限度を定めたもので、日照権を保証するものではないと書いています。
日影規制を守っていても日当たりが悪くなる3つの場合
南隣に高さ10m以下の3階建てが建つ(住居系の地域)
4mの面で測るため1階の窓と庭が長く日影になる
敷地境界から5m以内に影ができる・特例で許可された建物
第1種住居地域なら隣に10m以下の3階建てが日影規制なしで建つ
第1種住居地域や中高層住居専用地域では、対象は高さ10m超だけです。南隣に高さ10m以下の3階建てが建っても、日影規制はかからないということです。
南側が駐車場や空き地なら、3階建ての建売やアパートが建つ前提で考えておくほうが安全です。
4mで測る地域では1階のリビングの影は守られない
マンションのような10m超の建物は日影規制を受けますが、関西の多くの地域では4mの高さで測ります。4mの面で上限を守っていても、1階の窓や庭は、それより長く日影になることがあります。
当社で、大阪の緯度(北緯34.7度)で冬至の正午の太陽の高さを計算すると約31.9度でした。高さ10mの建物の影は、地面では約16m、4mの面では約9.7mまで伸びます。
| 影を受ける高さ | 高さ10mの建物の正午の影の長さ |
|---|---|
| 地面(庭) | 約16m |
| 1.5m(1階の窓) | 約13.7m |
| 4m(2階の窓) | 約9.7m |
同じ建物でも、1階の窓には2階より4mほど長い影が届くということです。
敷地境界から5m以内の影と、特例で許可された建物
3つ目は、敷地境界から5m以内は測らないことです。
また56条の2のただし書きで、特定行政庁が建築審査会の同意を得て許可した建物は、規制の時間を超えることがあります。



「日影規制があるから南に何が建っても大丈夫」ではありません。守られるのは、測る高さと5mより先の範囲だけです。



今の家は日当たりが良くても、10年後に南に何か建つかもしれないということですね。



そうです。南側の土地の用途地域と、いま何があるかを見ておけば、どこまで建てられるかの見当がつきます。内見のときに一緒に見ておくと安心です。
建売を買う前に日影規制と日当たりを確かめる4つの手順


日影規制の中身が分かったら、買う前の確認に落とし込みます。順番は次の4つです。
| 順番 | 確かめること | 見る場所 |
|---|---|---|
| 1 | その土地と南隣・東西隣の用途地域と容積率 | 重要事項説明書の法令上の制限の欄・市の都市計画のマップ |
| 2 | その地域の日影規制の時間と測る高さ | 府や市の建築指導の窓口・公式資料 |
| 3 | 南側と東西に空き地・駐車場・古家がないか | 現地と航空写真 |
| 4 | 冬の日差しが入る時間 | 11月から2月の内見・日の出と日の入りの方角 |
用途地域と日影規制は重要事項説明書で確かめられる
重要事項説明書には、用途地域と建ぺい率と容積率、日影規制の有無を書く欄があります。契約の前に説明を受けるものなので、気になる物件は早めに写しをもらっておくと比べやすくなります。
重要事項説明書で日当たりに関わる3つの欄
用途地域と建ぺい率・容積率
日影規制(日影による中高層の建築物の高さの制限)
高度地区・地区計画などの高さの決まり
隣の土地の用途地域は、各市の都市計画のマップで調べられます。大阪市なら「マップナビおおさか」、神戸市なら「神戸市情報マップ」です。用途地域の境目に近い物件は、南隣だけ用途地域が違うこともあります。
南側に空き地や駐車場がある建売は将来の建物を想定する
南側が月極駐車場や古家なら、いずれ建て替わると考えておきます。第1種住居地域なら3階建ての建売、容積率の高い地域ならマンションまで想定できます。
逆に、南側が道路や公園なら、日当たりは長く保たれやすいといえます。角地の日当たりの考え方は角地のデメリットとは?建売で後悔しない隅切りと建蔽率緩和と固定資産税の見方にまとめています。
冬の内見では1階のリビングに日が入る時間を見る
いちばん確実なのは、冬に現地で見ることです。日影規制が冬至日を基準にしているのと同じで、冬に日が入る家は1年中明るいと考えられます。
内見の持ち物と見る順番は建売の内覧チェックポイント|見る順番と持っていくもので、冬の寒さの確かめ方は建売は寒い?冬に寒くなる原因と内見での確かめ方と寒さ対策を解説で解説しています。
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日影規制に関するよくある質問


- 日影規制とは何ですか。
-
冬至日の午前8時から午後4時までに、中高層の建物が隣の土地に落とす影の時間に上限をかける決まりです。建築基準法56条の2に基づき、対象区域と時間は府や市の条例で指定されます。
- 2階建ての家は日影規制の対象になりますか。
-
一般的な2階建てはなりません。低層住居専用地域では軒の高さ7m超か3階以上、それ以外の地域では高さ10m超の建物が対象です。
- 日影規制があれば日照権は守られますか。
-
守られるのは最低限です。測る高さは1.5mか4mで、敷地境界から5mまでは測らないため、1階の窓や庭が長く日影になることはありえます。
- 日影規制と北側斜線制限の違いは何ですか。
-
日影規制は影の時間で、北側斜線制限は北側の境界からの斜めの線で高さを抑える決まりです。大阪市の中高層住居専用地域のように、日影規制がある区域では北側斜線制限がかからないこともあります。
日影規制より先に南と東西に何が建つかを確かめる|押さえる6つのこと


最後にまとめます。日影規制は隣の中高層の建物の影に上限をかけるが、建売の1階の日当たりまでは守らないというのが結論です。
- 冬至日の8時〜16時に、敷地境界から5mより先へ落ちる影の時間を測る
- 対象は低層住居専用地域で軒7m超か3階以上、ほかの住居系で高さ10m超
- 測る高さは1.5mか4mで、4mの地域では1階の影は規制の外
- 関西の建売の9割は2階建てで、自分の家が規制を受けることはまずない
- 第1種住居地域なら南に10m以下の3階建てが規制なしで建つ
- 用途地域と時間は重要事項説明書と府や市の公式資料で確かめる
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| 物件価格 | 通常の仲介手数料(税込) | ラクチン不動産 |
|---|---|---|
| 2,500万円 | 89万1,000円 | 0円 |
| 3,000万円 | 105万6,000円 | 0円 |
| 3,500万円 | 122万1,000円 | 0円 |
| 4,000万円 | 138万6,000円 | 0円 |
| 4,500万円 | 155万1,000円 | 0円 |
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