
建売を見ていると「許容応力度計算」という言葉を見かけます。2階建ての建売は、この計算をしていなくても大丈夫なのでしょうか。
家の強さは、あとから自分で確かめにくいところです。言葉が難しいぶん、不安になりますよね。
先に結論を言います。2階建ての建売は、法律上は許容応力度計算をしなくても建てられるので、していないこと自体は違反ではありません。
法律が求めるのは壁量計算などの仕様規定で、壁量計算でも耐震等級3は取れると国も説明しています。
ただ、何も確かめずに買うと、
どの方法で強さを確かめた家なのか分からないまま、2025年の改正前の基準で建てた家を選ぶことがあります。
避け方は、確認申請書と住宅性能評価書の2つで、計算の方法と耐震等級を契約前に確かめることです。
この記事では、建築基準法の条文と国土交通省の資料、当社の物件データを使って、許容応力度計算と壁量計算の違いを建売の買主向けにまとめます。
この記事で分かること
許容応力度計算とは何を確かめる計算か
壁量計算と許容応力度計算の違いと、耐震等級との関係
2025年4月の改正で2階建ての木造住宅の何が変わったか
許容応力度計算の費用とメリットとデメリット
建売で計算の方法を書類で確かめる手順
許容応力度計算とは柱や梁ごとに力が許容値を超えないか確かめる構造計算


許容応力度計算(きょようおうりょくどけいさん)は、構造計算の一つです。建物にかかる力を求め、柱や梁などの部材の中に生じる力が、材料ごとに決まった許容値を超えないかを確かめます。
建築基準法施行令82条が、計算の手順を定めています。力は「長期」と「短期」の2つに分けて考えます。
| 力の種類 | 想定する状態 | 主な中身 |
|---|---|---|
| 長期に生ずる力 | 常時 | 建物の重さ(固定荷重)+家具や人(積載荷重) |
| 短期に生ずる力 | 地震時 | 長期の力+地震力 |
| 短期に生ずる力 | 暴風時 | 長期の力+風圧力 |
| 短期に生ずる力 | 積雪時 | 長期の力+積雪荷重 |
計算の対象は、柱や梁の1本ごと、接合部や床、基礎までに及びます。壁の量を数えるだけの方法より、確かめる範囲が広いのが特徴です。
木造は3階建てか延べ面積300㎡超なら法律で許容応力度計算が必要
どんな建物に構造計算が必要かは、建築基準法20条1項が決めています。木造は「地階を除く階数が三以上であるもの又は延べ面積が三百平方メートルを超えるもの」が計算の対象です。
つまり3階建ての木造の建売は、法律で許容応力度計算が必要です。一方、延べ300㎡以下の2階建てと平屋は、20条1項4号の仕様規定を満たせば建てられます。
| 木造住宅の規模 | 構造の確かめ方(法律の最低限) |
|---|---|
| 平屋・2階建て(延べ300㎡以下) | 仕様規定(壁量計算・壁の配置・接合部など) |
| 3階建て | 許容応力度計算などの構造計算 |
| 延べ300㎡超 | 許容応力度計算などの構造計算 |
3階建ての建売の特徴は3階建ての建売は後悔する?デメリットと狭小住宅の暑さと老後の階段を関西71件で解説で解説しています。
許容応力度計算と壁量計算の違い|耐震等級3は壁量計算でも取れる


2階建ての木造住宅で使われる確かめ方は、大きく3つあります。名前が似ているので、違いを表にしました。
| 確かめ方 | 確かめること | 取れる耐震等級 |
|---|---|---|
| 建築基準法の壁量計算(仕様規定) | 必要な壁の量・壁のバランス・柱と土台の接合 | 等級1(法律の最低限) |
| 住宅性能表示の壁量計算 | 壁の量に加えて床の強さと接合部 | 等級1〜3 |
| 許容応力度計算 | 部材ごとの力・床・接合部・基礎 | 等級1〜3 |
壁量計算は床面積に応じた壁の長さが足りているかを確かめる
壁量計算は、施行令46条にもとづく方法です。各階の床面積に係数を掛けて「必要な壁の量」を出し、実際にある壁の長さに壁倍率を掛けた量と比べます。
壁量計算は、計算が簡単で早いのが長所です。そのかわり、柱や梁1本ごとの力までは確かめません。
耐震等級3は計算の方法ではなく地震力の1.5倍に耐えるかで決まる
耐震等級は、住宅性能表示制度の等級です。等級3は、数百年に一度の地震による力の1.5倍に対して倒壊・崩壊しない程度、等級2は1.25倍です。
国土交通省の解説は、確かめ方には高度な計算から壁の種類と長さに応じた簡便な計算まで幅広い方法があると書いています。そのうえで、「簡便なものほど、余裕を見込んだ設計となる」と説明しています。
つまり、計算の名前より、耐震等級が1か2か3かと書類の中身で比べるのが買主の見方です。耐震等級の違いと地震保険の割引は建売の耐震等級は1が多い?耐震等級3との違いと地震保険の割引と確かめ方を解説で書いています。



許容応力度計算をしている家のほうが、必ず強いのですか。



同じ耐震等級3なら、どちらも国の基準で1.5倍の地震力を確かめています。許容応力度計算は部材ごとに確かめるので、吹き抜けや大きな窓がある家では差が出やすいです。
2025年4月の改正で2階建ての木造住宅の壁量計算が重さに合わせた基準になった


2025年4月に、建築基準法と施行令が改正されました。2階建ての建売に関わる変わり方は、大きく3つです。
必要な壁の量は家の重さで計算する方式になった
改正前は、屋根が「軽い屋根」か「重い屋根」かで、必要な壁の量の係数を表から選んでいました。改正後は軽い屋根と重い屋根の区分がなくなり、建物の重さから必要な壁の量を計算する方式です。
国土交通省は、断熱性能の向上やトリプルガラスのサッシ、太陽光発電設備で、木造住宅が重くなっていることを理由に挙げています。太陽光を載せる家の考え方は新築の太陽光はいらない?建売で後悔する人と元が取れる年数とオール電化と蓄電池の電気代でまとめています。
| 基準 | 1階の必要壁量 | 2階の必要壁量 |
|---|---|---|
| 改正前・軽い屋根(2階建て) | 29cm/㎡ | 15cm/㎡ |
| 改正前・重い屋根(2階建て) | 33cm/㎡ | 21cm/㎡ |
| 改正後の入力例(瓦屋根・サイディング・太陽光あり) | 46cm/㎡ | 28cm/㎡ |
入力例の数字は条件で変わりますが、重い仕様の家ほど、改正前より必要な壁が増えることが分かります。国の早見表には「北側斜線・都市型仕様」の区分もあり、階高の低い都市部の家を想定しています。北側斜線は北側斜線とは?計算方法と緩和と高度地区の0.6との違いと建売の屋根が斜めになる理由を関西の基準で解説で解説しています。
2階建ても建築確認で構造の審査を受けるようになった
改正前の2階建ての木造住宅は「4号建築物」と呼ばれ、建築士が設計すれば構造の審査が省かれていました。これがいわゆる4号特例です。改正後は階数2以上か延べ200㎡超の建物は「新2号建築物」になり、構造も審査されます。
4号特例の縮小で2階建ての建売に起きたこと
構造関係規定が建築確認で審査されるようになった
確認申請の図書が増え、仕様表に壁量の内容を書くようになった
許容応力度計算の義務化ではなく、計算しないなら壁量計算を審査される
このため、2階建ての建売でも、壁量計算の内容が確認の審査を受けるようになりました。確認の書類の受け取り方は建築確認済証とは?見方と副本と図面の受け取り方と紛失したときの代わりの書類を建売の買主向けに解説で書いています。
2026年3月31日までに着工した家は改正前の壁量基準も選べた
ここが、2026年に建売を買う人がいちばん気をつけたいところです。国土交通省は、2026年3月31日までに着工する家は改正前の壁量基準も使える経過措置を設けました。
つまり、いま売られている建売の中には、改正前の壁量基準で建てた家が混ざっていることがあります。違法ではありませんが、同じ価格帯で比べるときの判断材料になります。



改正前の基準で建てた家が悪いわけではありません。ただ、太陽光やトリプルガラスで重くした家なら、改正後の基準でどうなるかを売主に聞いておくと安心です。
許容応力度計算の費用とメリットとデメリット


許容応力度計算の費用は、国や業界団体が公表している統計がありません。設計事務所や構造の専門家への依頼の内容と、建物の大きさや形で変わります。
建売の場合は、計算の費用は建物の価格に含まれていて、買主が別に払うことはありません。注文住宅で追加するときは、設計の見積に「構造計算」の項目があるかを見ます。
| メリット | デメリット | |
|---|---|---|
| 許容応力度計算 | 部材・床・接合部・基礎まで数字で確かめる/吹き抜けや大きな窓に強い | 設計の時間と費用がかかる |
| 壁量計算 | 早く安く確かめられる/余裕を見込んだ設計になる | 部材ごとの力は確かめない |
許容応力度計算について誤解しやすい3つのこと
2025年4月の改正で2階建てに許容応力度計算が義務化されたわけではない
許容応力度計算をしていれば耐震等級3というわけではない
計算をしても施工と地盤が伴わなければ強さは出ない
許容応力度計算は吹き抜けや大きな窓がある間取りで差が出る
壁量計算は壁の量とバランスを見る方法です。そのため、吹き抜けで床が抜けている家や、大きな窓で壁が少ない面がある家は、許容応力度計算のほうが細かく確かめられると考えられます。
建売は似た間取りが多く、壁量計算で余裕を持って設計されていることが多いです。吹き抜けや大開口のある建売なら、計算の方法を聞く価値があります。
計算どおりに建っているかは検査と地盤で決まる
どんなに細かく計算しても、図面のとおりに施工されていなければ意味がありません。施工の確認は、中間検査と完了検査、検査済証で見ます。検査済証は検査済証とは?ない家のリスクと義務化はいつからか建売で確かめる方法を解説で解説しています。
もうひとつは地盤です。建物の計算と地盤の強さは別に確かめます。地盤の改良は地盤改良の費用はいくら?柱状改良と表層改良と鋼管杭の違いと地盤保証を建売と注文住宅で比べるで書いています。
関西の建売で許容応力度計算が必要な3階建ては20件に1件


当社の物件データで、関西の新築建売1,347件の階数を数えました。
| 階数 | 件数 | 割合 | 法律が求める確かめ方 |
|---|---|---|---|
| 2階建て | 1,229件 | 91.2% | 仕様規定(壁量計算など) |
| 3階建て | 70件 | 5.2% | 許容応力度計算などの構造計算 |
| 平屋 | 43件 | 3.2% | 仕様規定(壁量計算など) |
関西の建売の9割は2階建てで、法律上は壁量計算で建てられる家でした。法律で構造計算が必要な3階建ては70件です。
販売情報に許容応力度計算の記載がある建売は0件だった
同じ1,347件の備考や設備の欄も調べました。「許容応力度計算」「構造計算」の記載がある物件は0件でした。
耐震等級3の記載は107件(7.9%)あり、107件とも同じ1社の物件でした。つまり、販売情報だけでは、計算の方法も等級も分からない建売がほとんどです。
関西の建売1,347件の販売情報で分かったこと
法律で構造計算が必要な3階建ては70件(5.2%)
許容応力度計算・構造計算の記載は0件
耐震等級3の記載は107件(7.9%)で、残りは等級も書かれていない
当社の物件データは、飯田グループ6社の物件が95%を占めています。ほかの売主の物件では傾向が違うこともあるので、目安として見てください。
建売の許容応力度計算と耐震等級は契約前に書類で確かめる


販売図面に書かれていなくても、書類を見れば分かります。契約前に確かめたい書類は次の4つです。
| 書類 | 見るところ | 分かること |
|---|---|---|
| 確認申請書 | 経過措置の適用の欄 | 改正前と改正後のどちらの壁量基準か |
| 確認申請書の副本と図書 | 仕様表・構造の図面 | 壁量計算か構造計算か |
| 設計住宅性能評価書 | 耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)の欄 | 等級1〜3 |
| 構造計算書 | 計算の方法と結果 | 3階建てなら必ずある |
国土交通省は改正にあわせて、確認申請書に壁量基準の経過措置を使ったかを書く欄を設けました。ここを見れば、改正前と改正後のどちらの基準かが分かります。
2階建ての建売は仕様表に壁量の内容が書かれている
延べ300㎡以下の2階建てで仕様規定だけで確かめる家は、床伏図などの図面を出す代わりに、必要な事項を仕様書に書く形が認められています。
つまり2階建ての建売では、構造計算書ではなく仕様表と壁量の計算の書類を見せてもらうことになります。評価書の読み方は住宅性能評価書の見方|建売で見る6つの等級と設計・建設の違いで解説しています。
建築中の建売は計算の方法が途中で変わると計画変更になる
国土交通省は、壁量計算から許容応力度計算への変更は、軽微な変更ではなく計画変更になると示しています。
建築中の建売を契約するときは、確認を受けた計画のまま建てる前提です。完成前の建売の確かめ方は建売は完成前に買うべき?建つ前に購入する値引きと未完成物件の確かめ方を解説にまとめています。
売主に聞いておきたい3つのこと
構造は壁量計算か、性能表示の計算か、許容応力度計算か
耐震等級は取得しているか、評価書はあるか
確認申請で改正前と改正後のどちらの壁量基準を使ったか
この3つは、売主の担当者が書類を見れば答えられる内容です。答えがあいまいなら、書類の写しを見せてもらうよう頼みます。
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許容応力度計算に関するよくある質問


- 許容応力度計算とは何ですか。
-
建物にかかる力を求め、柱や梁などの部材ごとに生じる力が材料の許容値を超えないかを確かめる構造計算です。建築基準法施行令82条が手順を定めています。
- 2階建ての建売は許容応力度計算をしていますか。
-
法律上の義務はありません。延べ300㎡以下の2階建ての木造は、壁量計算などの仕様規定で建てられます。計算をしたかは売主に聞くか、確認申請の書類で確かめます。
- 壁量計算でも耐震等級3は取れますか。
-
取れます。住宅性能表示制度では、壁の種類と長さに応じた簡便な計算から高度な計算まで使えると国土交通省が説明しています。
- 許容応力度計算の費用はいくらですか。
-
公的な統計はなく、依頼先と建物の大きさで変わります。建売では計算の費用は価格に含まれていて、買主が別に払うことはありません。
- 3階建ての建売は許容応力度計算が必要ですか。
-
必要です。建築基準法20条1項で、木造の3階建てと延べ300㎡超は構造計算が求められています。
- 2025年4月の改正で何が変わりましたか。
-
必要な壁の量を建物の重さから計算する方式になり、2階建ての木造住宅も建築確認で構造を審査されるようになりました。2026年3月31日までに着工した家は改正前の基準も選べました。
許容応力度計算より等級と書類で建売の強さを確かめる|押さえる5つのこと


最後にまとめます。2階建ての建売は法律上は壁量計算で足り、強さは耐震等級と確認の書類で比べるのが結論です。
- 許容応力度計算は部材ごとに力が許容値を超えないかを確かめる構造計算
- 木造は3階建てか延べ300㎡超なら法律で必要、2階建ては仕様規定で建てられる
- 耐震等級3は壁量計算でも取れ、簡便な計算ほど余裕を見込んだ設計になる
- 2025年4月から必要な壁の量は家の重さで計算し、2階建ても構造を審査する
- 確認申請書の経過措置の欄と評価書の耐震等級を契約前に見る
計算の名前だけで家の強さは決まりません。書類を一度そろえて見れば、同じ価格帯の建売を同じ物差しで比べられます。
新築一戸建て・建売を買うとき、仲介手数料は0円になります。物件価格が上がるほど、差は大きくなります。
| 物件価格 | 通常の仲介手数料(税込) | ラクチン不動産 |
|---|---|---|
| 2,500万円 | 89万1,000円 | 0円 |
| 3,000万円 | 105万6,000円 | 0円 |
| 3,500万円 | 122万1,000円 | 0円 |
| 4,000万円 | 138万6,000円 | 0円 |
| 4,500万円 | 155万1,000円 | 0円 |
なぜ0円にできるのか
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