
建売の契約をしたけど、やっぱりやめたい



手付金は戻ってこないの?
勢いで申し込んでしまった、家族の反対があった、もっと良い物件が出てきた。契約後に迷いが出ることは珍しくありません。
結論からいうと、建売の契約をキャンセルできるかは、いつやめるかで負担が3段階に変わります。
購入申込書を出しただけで契約前なら、負担なくやめられます。
契約後でも、相手が履行に着手する前なら手付金を放棄して解除できます。
ただし、進め方を間違えると
着手後は手付放棄では解除できず、違約金の対象になります。
違約金は、契約書で物件価格の10〜20%と定められていることが多くあります。
手付解除の期限は契約書に日付で書かれており、過ぎると使えません。
一方で、住宅ローンの本審査が通らなかった場合は、ローン特約で全額が戻ります。
この記事では、段階ごとの負担と、キャンセルの手続きを解説します。
- 建売の契約前と契約後で何が変わるか
- 手付解除ができる期限
- ローン特約で白紙解除できる条件
- 違約金がかかる場合の金額
- キャンセルを伝えるときの手順
- キャンセルしないための確認


シュース 健人
宅地建物取引士(大阪府 第118737号)
株式会社GEEZ/大阪府知事(2)第62068号
関西全域の不動産の購入・売却査定・相続不動産・空き家などの実務に携わっています。本記事は、実務経験に加え、国土交通省・法務省・国税庁などの公的資料を確認して執筆・監修しています。
建売の契約キャンセルは、いつやめるかで負担が変わる


まず全体像から整理します。
負担が変わる境目は、契約と、相手の履行の着手の2つです。
段階ごとに見ていきます。
建売の契約前のキャンセルは負担がない
購入申込書を出した段階は、まだ契約ではありません。
買いたいという意思を書面で伝えたもので、法的な拘束力は原則としてありません。
この段階でやめても、費用は発生しないのが通常です。
申込証拠金を預けている場合は、返してもらえます。
ただし売主にとっては、その間ほかの買主を断っています。早めに伝えてください。
建売の仮契約キャンセルという言葉に注意する



「仮契約」という契約は存在しません。
不動産の取引で、仮契約という段階は法律上ありません。
購入申込書のことを仮契約と呼ぶ会社もあれば、売買契約そのものを指している場合もあります。
自分がどちらの段階にいるのかを、書面で確かめてください。
重要事項説明を受けて記名押印していれば、それは売買契約です。
建売の契約後のキャンセルは手付解除になる
売買契約を結んだあとは、手付金を放棄することで解除できます。
民法では、相手方が契約の履行に着手するまでの間と定められています。
手付金は物件価格の5〜10%が目安なので、3,000万円なら150万〜300万円です。
この金額が戻らないという形で、契約をやめることになります。
建売の着手後のキャンセルは違約金の対象になる
手付解除の期限を過ぎると、手付放棄では解除できません。
契約違反として、違約金を支払うことになります。
違約金は契約書で物件価格の10〜20%と定められていることが多くあります。
3,000万円なら300万〜600万円です。手付金より重くなります。
建売の手付解除ができる期限


ここが最も誤解されやすい部分です。
「相手方が契約の履行に着手するまで」が期限になります。
順に説明します。
建売の手付解除の期限は契約書に書かれている
民法の定めは「履行に着手するまで」ですが、いつ着手したかで争いになります。
そのため実務では、契約書に手付解除の期限を日付で定めるのが通常です。
契約書の解除に関する条項を、まず読んでください。
契約から1か月前後に設定されていることが多くあります。
建売で売主が履行に着手するとはどういうことか
売主側が、契約を実行するための具体的な行動を始めることです。
建築中の物件であれば、買主の希望に合わせた変更工事を始めた場合。
登記の準備や、売主が別の物件を購入する手続きに入った場合も該当し得ます。
なお、契約の破棄という言い方をされることがありますが、法律上の用語は解除です。
一方的に破棄したという扱いになると、違約金の話になります。
解除の条項に沿って手続きを取れば、破棄ではなく解除として処理されます。
判断が分かれる部分なので、契約書の期日で線を引いておくのが実務です。
建売の手付金は解除しなければ戻ってくるものではない
手付金は、契約が予定どおり進めば物件価格の一部に充当されます。
返ってくるのではなく、支払った代金の一部になるということです。
解除する場合に限り、放棄するか返還を受けるかという話になります。
手付金の用意については住宅購入の諸費用の記事でも触れています。
建売の売主から契約を解除する場合
売主の側から解除する場合は、手付金の倍額を返します。
これを手付倍返しといい、買主が手付を放棄するのと対になっています。
売主が会社であれば、こちらから解除されることはまずありません。
ただし制度として双方に用意されている、という点は知っておいてください。
建売のローン特約なら手付金は全額戻る


キャンセルの理由が住宅ローンなら、話が変わります。
ローン特約が使えれば、手付金は全額戻ります。
条件を説明します。
建売のローン特約とは何か



買主を守るための仕組みです。
住宅ローンの本審査が通らなかった場合に、契約を白紙に戻せるという特約です。
白紙解除といい、手付金は全額返還され、違約金もかかりません。
借りられないのに買わされる、という事態を防ぐためのものです。
売買契約書に、この特約が入っているかを必ず確認してください。
建売のローン特約が使える条件
特約には、使える条件が細かく定められています。
ローン特約が使えるための主な条件
- 契約書に定めた金融機関に、実際に申し込んでいること
- 本審査が否決されたこと:取り下げは対象にならない
- 定められた期限内に、書面で申し出ること
- 契約書に定めた借入額の範囲であること
自分の都合で申し込みを取り下げた場合は、対象になりません。
建売のローン特約の期限を過ぎないようにする



期限の管理が最も重要です。
ローン特約には、いつまでにという期限が設定されています。
契約から1か月前後で切られていることが多くあります。
本審査の結果が出るまでに2〜3週間かかるため、申し込みが遅れると間に合いません。
契約後すぐに本申し込みを進めてください。
建売でローン特約が使えない場合もある
売主が個人ではなく会社の場合でも、特約が付かないことがあります。
現金で買う前提の契約や、審査に不安があると分かっている場合です。
特約がない契約は、審査が通らなくても手付金が戻りません。
契約前に、特約の有無と条件を確認してください。
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値引きでもキャンペーンでもありません。売主が不動産会社である新築の建売は、売主から報酬を受け取れるため、買主からいただく必要がないという仕組みです。
- 対象:売主が不動産会社の新築一戸建て・建売
- 対象外:中古住宅、個人が売主の物件、売主から報酬が出ない物件
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建売の契約をキャンセルするときの手順


やめると決めたら、進め方があります。
口頭ではなく、書面で伝えるのが原則です。
3つ挙げます。
建売のキャンセルはできるだけ早く伝える
迷っている段階でも、早めに相談してください。
期限が近づいてからでは、手続きが間に合わないことがあります。
売主にとっても、早く分かれば次の買主を探せます。
言いにくい話ですが、遅らせるほど負担が重くなります。
建売のキャンセルは書面で申し出る
解除の意思は、書面で伝えるのが確実です。
口頭だけだと、いつ伝えたかが後で争いになります。
とくにローン特約による解除は、期限内に申し出た記録が必要です。
仲介会社を通している場合は、書式を用意してもらえます。
建売のキャンセルで戻るお金と戻らないお金
段階によって、扱いが変わります。
| 段階 | 手付金の扱い | 負担 |
|---|---|---|
| 契約前(申込のみ) | 申込証拠金は返還 | なし |
| 契約後・着手前 | 手付金は戻らない | 手付金の額(価格の5〜10%) |
| ローン特約による解除 | 手付金は全額返還 | なし |
| 着手後 | 違約金が発生 | 契約書の定め(価格の10〜20%) |
仲介手数料は、契約時に半額を支払っている場合があります。
その扱いは仲介会社との媒介契約によるため、あわせて確認してください。
登記費用や火災保険料を先に払っている場合も、戻るかどうかは契約先によります。
住宅ローンの事務手数料は、実行前であれば発生しないことが多くあります。
建売の契約をキャンセルしないために


そもそもキャンセルしないで済むのが最善です。
迷いが出るのは、確かめないまま契約したときです。
3つ挙げます。
建売は契約前に事前審査を通しておく
本審査で落ちる不安があるなら、事前審査を先に通しておきます。
事前審査が通っていれば、本審査で覆ることは多くありません。
売主にとっても、確実性の高い買主として扱われます。
審査の見方は住宅ローンの審査基準の記事にまとめています。
建売は契約前に家族全員で見に行く



反対が出るのは、見ていない人からです。
契約後のキャンセルで多いのが、家族の反対です。
一緒に住む人が現地を見ていないと、あとから意見が出ます。
契約の前に、住む人全員で一度は見てください。
親御さんが資金を出す場合は、その方にも見てもらうほうが確実です。
見に行けない場合は、写真と動画を撮って共有してください。
前面道路と、隣家との距離は、写真だけでは伝わりにくい部分です。
建売は契約前に重要事項説明をよく聞く
契約の前に、宅地建物取引士から重要事項説明を受けます。
前面道路、用途地域、ハザードマップ、設備の状況、契約の解除に関する事項。
分からないところは、その場で止めて質問してください。
とくに、引き渡し後に不具合が見つかったときの契約不適合責任の期間は確認してください。
新築の建売では、構造耐力上主要な部分と雨水の浸入を防ぐ部分について10年の義務があります。
それ以外の設備などは、契約書で期間が定められています。
署名押印したあとに「聞いていない」は通りません。
契約後の段取りは建売住宅の引渡しまでの流れの記事にまとめています。
内覧での確認は建売の内覧チェックポイントの記事で解説しています。
建売のキャンセルは、間に入る相手で進め方が変わります


やめたいと伝えるのは、心理的に負担が大きい話です。
誰を通して伝えるかで、進め方が変わります。
差が出る部分を挙げます。
売主に直接伝えると、引き止められる



立場の問題です。
売主の担当者は、契約を成立させる立場にあります。
やめたいと伝えても、まず引き止める方向で話が進みます。
手付解除の期限やローン特約の条件も、こちらから確認する必要があります。
同じ物件でも、間に入る仲介会社の担当者がどちらを向いているかで着地点は変わります。
買主の側に立つと、キャンセルの条件を整理できる



やめる場合も、進める場合も、条件は同じ書面に書かれています。
ラクチン不動産は、買主の側に立って売主と条件を詰めます。
買主の味方として動くと、こうなります
- 契約書の解除の条項を読み、手付解除の期限を確認する
- ローン特約が使えるかを、条件と期限で判断する
- 解除の申し出を、期限内に書面で出す
- 仲介手数料の扱いを、媒介契約に沿って整理する
- やめる前に、迷いの原因が解消できるものかを一緒に確かめる
交渉が通るかどうかは運ではなく、売主に「この人に売りたい」と思わせる材料をどれだけ用意できるかで決まります。
ラクチン不動産は、契約前の確認からお手伝いします
ラクチン不動産は購入・売却の仲介を専門にしています。
他社で断られた物件でも、まずは状態をうかがったうえで進め方を整理します。
やめたほうがよいと判断すれば、そう申し上げます。
契約を急がせることはしません。確かめてから決めていただくほうが、結果として早く進みます。
大阪・兵庫・京都を中心にお手伝いしています。
買取を検討する場合も、売主の立場で複数の買取業者に査定を出して比較します。
建売の契約キャンセルに関するよくある質問


- 建売の契約はキャンセルできますか?
-
できますが、いつやめるかで負担が変わります。購入申込書を出しただけで契約前なら、負担なくやめられ、申込証拠金も返ってきます。売買契約を結んだあとは、相手方が契約の履行に着手するまでの間なら、手付金を放棄して解除できます。着手後は手付放棄では解除できず、契約書に定めた違約金の対象になります。
- 建売の契約後にキャンセルすると手付金は戻りませんか?
-
手付解除の場合は戻りません。手付金は物件価格の5〜10%が目安なので、3,000万円の物件なら150万〜300万円です。ただし住宅ローンの本審査が通らなかった場合は、ローン特約による白紙解除ができ、手付金は全額返還されます。違約金もかかりません。契約書に特約が入っているか確認してください。
- 手付解除の期限はいつまでですか?
-
民法では「相手方が契約の履行に着手するまで」と定められていますが、いつ着手したかで争いになるため、実務では契約書に日付で期限を定めるのが通常です。契約から1か月前後に設定されていることが多くあります。まず契約書の解除に関する条項を読んでください。
- ローン特約はどんなときに使えますか?
-
契約書に定めた金融機関に実際に申し込み、本審査が否決され、定められた期限内に書面で申し出た場合です。自分の都合で申し込みを取り下げた場合は対象になりません。また期限は契約から1か月前後で切られていることが多く、本審査の結果が出るまでに2〜3週間かかるため、契約後すぐに本申し込みを進めてください。
- 建売の仮契約とは何ですか?キャンセルできますか?
-
不動産の取引に「仮契約」という段階は法律上ありません。購入申込書のことを仮契約と呼ぶ会社もあれば、売買契約そのものを指している場合もあります。重要事項説明を受けて記名押印していれば、それは売買契約です。自分がどちらの段階にいるのかを、書面で確かめてください。段階によって負担がまったく違います。
- 建売の契約をキャンセルするとき、どう伝えればよいですか?
-
書面で伝えてください。口頭だけだと、いつ伝えたかが後で争いになります。とくにローン特約による解除は、期限内に申し出た記録が必要です。仲介会社を通している場合は書式を用意してもらえます。また、迷っている段階でも早めに相談してください。期限が近づいてからでは手続きが間に合わないことがあります。
- 契約後に家族が反対した場合はどうなりますか?
-
家族の反対は、契約後のキャンセルで最も多い理由です。ただし理由が何であれ、契約後は手付解除か違約金という扱いになります。ローン特約のような救済はありません。だからこそ、契約の前に住む人全員で現地を見ておいてください。親御さんが資金を出す場合は、その方にも見てもらうほうが確実です。
まとめ|建売のキャンセルは、いつやめるかで負担が決まる


迷いが出たら、まず契約書を開いてください。
答えは、解除に関する条項に書かれています。
この記事のまとめ
- 契約前(購入申込書の段階)なら、負担なくやめられる
- 「仮契約」という段階は法律上ない。どちらなのか書面で確かめる
- 契約後・着手前は、手付金を放棄して解除できる
- 手付金は物件価格の5〜10%が目安
- 手付解除の期限は契約書に日付で書かれている。契約から1か月前後が多い
- 着手後は違約金の対象。物件価格の10〜20%と定められていることが多い
- ローン特約が使えれば、手付金は全額戻り違約金もかからない
- 自分の都合で申し込みを取り下げた場合は、特約の対象外
- 解除の意思は、書面で期限内に伝える。破棄ではなく解除として処理してもらう
- 契約前に、住む人全員で現地を見ておく
この記事の位置づけ
解除の可否と負担は、契約書の条項によって変わります。
この記事は一般的な仕組みを整理したものです。具体的な判断は、契約書を確認したうえで宅地建物取引士や弁護士にご相談ください。
新築一戸建て・建売を買うとき、仲介手数料は0円になります。物件価格が上がるほど、差は大きくなります。
| 物件価格 | 通常の仲介手数料(税込) | ラクチン不動産 |
|---|---|---|
| 2,500万円 | 89万1,000円 | 0円 |
| 3,000万円 | 105万6,000円 | 0円 |
| 3,500万円 | 122万1,000円 | 0円 |
| 4,000万円 | 138万6,000円 | 0円 |
| 4,500万円 | 155万1,000円 | 0円 |
なぜ0円にできるのか
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この記事の情報は 2026年8月 時点のものです。制度・基準は改正されることがあるため、実際のお手続きの際は各機関の最新情報をご確認ください。














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