
気になる建売の重要事項説明書に「景観法」と書いてありました。何か気をつけることがあるのでしょうか。
聞き慣れない法律の名前が並ぶと、不安になりますよね。
先に結論を言います。景観法は街並みの見た目を整えるための法律で、建売の多くでは一般の区域に入っているだけです。
ただし知らずに買うと、
入居後に外壁を好きな色に塗り替えようとして、届出や認定が要ると後から知り、工事が30日以上止まることがあります。
避け方は、契約の前に「景観計画区域か景観地区か」と重点区域かどうかを聞き、色の基準をもらっておくことです。
この記事で分かること
景観法の3つの仕組み(景観計画・景観地区・景観協定)
届出が要る行為と30日の着手制限
戸建てが届出の対象になる区域(大阪府・大阪市・神戸市)
芦屋市や京都市のような景観地区の認定
建売を買ったあとの塗り替えや増築で気をつけること
景観法とは良好な景観をつくるための法律で仕組みは3つある


景観法(けいかんほう)は、2004年に公布された、景観についての日本で初めての総合的な法律です。
景観の決まりをつくるのは、景観行政団体です。法律は、指定都市と中核市ではその市、ほかの地域では都道府県(または事務を引き受けた市町村)としています。
| 仕組み | 中身 | 手続き |
|---|---|---|
| 景観計画 | 景観行政団体が区域と行為の制限を決める | 一定の行為の前に届出 |
| 景観地区 | 市町村が都市計画で形態意匠などを決める | 建築の前に市町村長の認定 |
| 景観協定 | 土地の所有者どうしが約束する | 協定の中身に従う |
建売の買主にとって大事なのは、届出で済む景観計画区域か、認定が要る景観地区かの違いです。
同じ「景観法」でも、手続きの強さがまったく違います。
景観法の景観計画区域では建築や外壁の色の変更の前に届出が要る


景観計画区域で次の行為をするときは、あらかじめ届け出る決まりです(景観法16条1項)。
| 届出が要る行為 | 建売の買主に関係する場面 |
|---|---|
| 建築物の新築・増築・改築・移転 | 増築、建て替え |
| 外観を変える修繕・模様替 | 外壁の張り替え、窓の大きな変更 |
| 色彩の変更 | 外壁や屋根の塗り替えで色を変える |
| 工作物の新設など | 門、塀、カーポートなど(市の計画しだい) |
届出から30日は工事に着手できない
届け出たあと、受理の日から30日を過ぎるまでは工事を始めてはいけない決まりです(18条1項)。
計画に合わないと、設計の変更を勧告されたり、条例で決めた行為なら変更を命じられたりします。
景観法の罰則は届出なしで30万円以下・命令違反で50万円以下の罰金
罰則も法律に書かれています。届け出ずに工事をしたり、30日を待たずに着手したりすると30万円以下の罰金です(103条)。
変更の命令に違反すると50万円以下の罰金、原状回復の命令に違反すると1年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金です(101条・102条)。



ただし、戸建ての工事がすべて届出の対象になるわけではありません。届出が要る規模は、景観行政団体ごとの景観計画で決まっています。
景観法の届出の対象に戸建てが入るかは市の景観計画の規模で決まる


大阪府と大阪市の一般の区域は高さ20mや敷地2,000㎡が線
関西の公式資料で、届出が要る規模を並べるとこうなります。
| 地域 | 区域 | 建築物の届出の規模 |
|---|---|---|
| 大阪府(景観行政団体の市を除く) | 一般の区域・大阪湾岸区域 | 高さ20m又は建築面積2,000㎡を超えるもの |
| 大阪府 | 歴史的街道区域(重点区域) | 建築確認申請が必要な規模のもの |
| 大阪市 | 基本届出区域 | 敷地2,000㎡以上かつ高さ10m以上、又は延べ5,000㎡超かつ地上6階以上 |
| 大阪市 | 重点届出区域(御堂筋地区など) | 全ての規模 |
| 神戸市 | 都市景観形成地域(岡本駅南の例) | 高さ5m超又は床面積10㎡超 |
| 芦屋市 | 景観地区(一部を除く市内全域) | 全ての建築物(認定) |
重点区域や景観形成地域では戸建ても届出の対象になる
一般の区域の線は高さ20mや敷地2,000㎡なので、2階建ての建売は、多くの区域で届出の対象にならないといえます。
一方で、重点区域や景観形成地域に入ると、戸建ても届出の対象になることがあります。
同じ府内でも窓口が違う
大阪府内でも、大阪市・堺市・豊中市・吹田市など18の市町は自分で景観計画を持つ景観行政団体です。
その市にある建売は、府ではなく市の景観計画で規模を確かめます。
景観法の景観地区では戸建ても新築や色の変更の前に市長の認定が要る


景観地区(けいかんちく)は、市町村が都市計画で定める地区です(61条)。景観計画区域よりも一段強い仕組みです。
景観地区の中で建物を建てる人は、規模に関係なく、着工の前に市町村長の認定を受けなければならない決まりです(63条1項)。
市町村長は受理から30日以内に審査し、認定証を交付します。認定証を受け取るまで工事はできません。
芦屋市は一部を除く市内全域が景観地区
芦屋市は2009年7月1日から、芦屋川特別景観地区を除く市内全域を景観地区にしています。
戸建て住宅も例外ではありません。市内の全ての建築物の新築・増築・外観の変更・色の変更に認定申請が要るのが特徴です。
ただし、増築で10㎡以内のものや、外壁の1面の過半を超えない塗り替えは申請が要らないとされています。



景観地区の建売は、売主が認定を取っているのですよね。



はい、新築の建売は売主が認定を受けてから建てています。気をつけたいのは、買ったあとに外壁の色を変えたり増築したりするときです。
京都市と芦屋市は関西でも景観の決まりが細かい


京都市は2007年の新景観政策で高さと看板を見直した
京都市は2007年9月から「新景観政策」を始めています。
歴史的な市街地のほぼ全域で建物の高さを引き下げ、職住共存地区は31mから15mに、都心の幹線沿道は45mから31mになったと公式に説明しています。
市内全域で屋外広告物を規制し、屋上の看板は禁止です。美観地区・美観形成地区は景観法の景観地区で、2020年4月からは隣の家越しに見える室外機にも配慮を求める基準にしています。
芦屋市は戸建ての外壁の色を数字で決めている
芦屋景観地区の基準では、戸建て住宅など大規模建築物以外の外壁の基調色は、マンセル値で次のとおりです。
| 色の系統 | 彩度の上限 |
|---|---|
| R(赤)・YR(橙)系 | 6以下 |
| Y(黄)系 | 4以下 |
| その他の色相 | 2以下 |
鮮やかな青や緑の外壁は、その他の色相で彩度2以下になるので選びにくいということです。外壁の色の見え方は外壁のグレーで後悔する理由は?白と黒との汚れの違いと色見本より明るく見える面積効果と窯業系サイディングの寿命を建売で解説で解説しています。
関西の建売の5件に1件は法令の欄に景観法と書かれている


当社の物件データで、関西の建売1,347件の法令の欄を数えました(2026年10月22日)。
景観法の記載があったのは281件で全体の20.9%、和歌山県を除くと兵庫県の25.3%が最も高い結果です。
| 府県 | 景観法の記載 | 割合 |
|---|---|---|
| 兵庫県 | 103件/407件 | 25.3% |
| 大阪府 | 84件/370件 | 22.7% |
| 奈良県 | 46件/277件 | 16.6% |
| 滋賀県 | 24件/165件 | 14.5% |
| 京都府 | 13件/103件 | 12.6% |
| 和歌山県 | 11件/25件 | 44.0% |
| 合計 | 281件/1,347件 | 20.9% |
法令欄の景観法は景観計画区域に入っているという意味が多い
「景観地区」「美観地区」と書かれた物件は0件で、記載のほとんどは「景観法」という法令名だけでした。
つまり多くは景観計画区域に入っているという意味で、戸建てが届出の対象になる区域かどうかまでは書かれていません。
このデータは飯田グループの物件が中心で偏りがあります。記載がないから景観計画区域ではない、とはいえません。
建売を買ったあとの塗り替えや増築で景観法の届出が要るかを先に聞く


新築の建売は、売主が届出や認定を済ませて建てています。困るのは、買ったあとに自分で手を入れるときです。
| 工事 | 確かめること |
|---|---|
| 外壁や屋根の塗り替え | 色を変えるか、同じ色か。変える面積が外壁の過半か |
| 増築 | 床面積と高さ。芦屋市なら10㎡以内は申請不要 |
| カーポートや門・塀 | 工作物として届出の対象か(市の景観計画しだい) |
| 太陽光パネル | 屋根の外観の変更に当たるか(市の窓口で確認) |
とくに外壁の塗り替えは「色彩の変更」として届出や認定の対象になる区域があります。
塗装の見積もりを取る前に、市の景観の窓口に当てはまるかを聞いておくと、届出から着手までの30日を工期に組み込めるので慌てずに済みます。
カーポートの建ぺい率の考え方はカーポートに固定資産税はかかる?建ぺい率と確認申請の要否と物置とガレージの違いを建売向けに解説、太陽光は新築の太陽光はいらない?建売で後悔する人と元が取れる年数とオール電化と蓄電池の電気代、増築は建売のリフォームはいつやる?間取り変更とリノベの建築確認と保証が切れる工事を解説で解説しています。
風致地区や地区計画と重なることがある
景観法の区域に、風致地区・地区計画・建築協定が重なっている土地もあります。
それぞれ手続きが別なので、外構や色の工事の前にすべてを確かめてください。
風致地区は風致地区とは?建ぺい率と高さの制限と景観地区との違いと建売で後悔しない確かめ方を関西の基準で解説、地区計画は地区計画とは?届出が必要な工事と敷地面積の最低限度と調べ方を関西1,522地区のデータで建売の買主向けに解説、建築協定は建築協定とは?地区計画との違いと一人協定と違反したらどうなるかと調べ方を建売の買主向けに関西の実数で解説にまとめています。
景観法の区域にある建売を買う前に確かめる4つのこと


景観法は、宅地建物取引業法施行令3条で重要事項説明の対象になっている法令の1つです。
景観地区の認定は、施行令2条の5で「許可等の処分」にも入っています。そのため景観地区の未完成の建売は、認定が下りるまで広告も契約もできないことになります。
契約の前に確かめる4つのこと
重要事項説明書の景観法の欄(景観計画区域か景観地区か)
重点区域や景観形成地域に入っているか
売主が出した届出や認定の内容(外壁と屋根の色)
外壁の色の基準(マンセル値)と、塗り替えで届出が要る範囲
売主が出した届出の写しで外壁の色の番号を残しておく
売主が届出や認定で出した立面図には、外壁と屋根の色がマンセル値で書かれています。
この番号を控えておくと、10年後の塗り替えで同じ色を指定しやすくなります。
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景観法に関するよくある質問


- 景観法とは何ですか。
-
良好な景観をつくるための法律で、2004年に公布されました。景観計画区域での届出、景観地区での認定、住民どうしの景観協定などの仕組みがあります。
- 戸建て住宅も景観法の届出が要りますか。
-
区域によります。大阪府や大阪市の一般の区域では高さ20mや敷地2,000㎡などが線なので、2階建ての戸建ては対象外になりやすいです。重点区域や景観地区では戸建ても対象になります。
- 外壁の色を変えるだけでも届出は要りますか。
-
景観法16条は色彩の変更も届出の対象にしています。どの規模から対象になるかは市の景観計画で決まるので、塗装の前に窓口で確かめてください。
- 届出はいつまでに出しますか。
-
工事の前に出し、受理から30日を過ぎるまで着手できません。大阪府も、できるだけ早い段階から相談するよう案内しています。
- 景観地区と景観計画区域の違いは何ですか。
-
景観計画区域は届出、景観地区は市町村長の認定です。景観地区では規模に関係なく、認定証を受け取るまで工事ができません。
景観法は避ける理由ではなく買ったあとの工事の確認先|押さえる4つのこと


最後にまとめます。景観法は家を建てられなくする法律ではなく、色や増築の前に手続きを求める法律です。
- 景観計画区域は届出、景観地区は認定で、手続きの強さが違う
- 一般の区域では2階建ての戸建ては届出の対象外になりやすい
- 芦屋市のような景観地区では戸建ても色の変更まで認定が要る
- 関西の建売の約5件に1件は法令の欄に景観法と書かれている
- 買ったあとの塗り替え・増築・カーポートの前に窓口で確かめる
当社は新築の建売を仲介手数料0円でご案内しています。物件の良いところも気になるところも、買主の側に立ってそのままお伝えします。ご希望があれば、景観の区域の種類や、入居後にしたい工事に手続きが要るかを一緒に確かめることもご相談ください。
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| 物件価格 | 通常の仲介手数料(税込) | ラクチン不動産 |
|---|---|---|
| 2,500万円 | 89万1,000円 | 0円 |
| 3,000万円 | 105万6,000円 | 0円 |
| 3,500万円 | 122万1,000円 | 0円 |
| 4,000万円 | 138万6,000円 | 0円 |
| 4,500万円 | 155万1,000円 | 0円 |
なぜ0円にできるのか
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