
手付金って、住宅ローンに入れられないの?



契約までに現金300万円なんて用意できない
結論から言います。手付金を住宅ローンで払うことはできません。ローンのお金が出るのは引渡しの日で、手付金を払う契約の日にはまだ1円も出ていないからです。
ただし手付金は売買代金の一部に充てられます。引渡しのときに払う残代金が、その分だけ減ります。だから「捨てるお金」ではありません。
つまり必要なのは「手付金をまかなう現金」ではなく「契約の日から引渡しの日まで立て替えておける現金」です。ここが分かると、打つ手が見えてきます。
いちばん怖いのは、現金が足りないからと手付金を極端に少なくして、売主から一方的に契約を解除されるケースです。手付金が少ないほど、売主は安く解除できてしまいます。
この記事では、宅地建物取引業法の条文と、当社が関西の建売1,356件で数えた実額をもとに、手付金をいくら用意すべきかを決められるようにします。
- 手付金がローンで払えない理由と、それでも実質的に借りられる仕組み
- 関西の建売1,356件から出した、手付金の実額の目安
- 手付金の上限は代金の20%という法律の決まり(下限は無い)
- 手付金を少なくしすぎると起きること
- 現金が足りないときに取れる4つの手
- 手付金が返ってくる場合と、返ってこない場合
手付金がローンで払えない理由は「お金が出る日」が違うから
建売を買うとき、お金を払う場面は大きく2回あります。
| いつ | 何を払うか | お金の出どころ |
|---|---|---|
| 売買契約の日 | 手付金 | 自己資金(現金) |
| 引渡しの日(決済) | 残代金=物件価格−手付金 | 住宅ローン+自己資金 |
住宅ローンは、所有権が自分に移る引渡しの日に実行されます。銀行はその家を担保に取ってからでないとお金を出せません。
契約の日はまだ所有権が売主にあります。だから手付金の時点では、どの銀行からもお金は出ない。これが「ローンに組み込めない」の中身です。
それでも実質は借りられている
3,500万円の建売を、手付金200万円・フルローンで買う場合を見てください。
- 契約の日 手付金200万円を現金で払う
- 引渡しの日 残代金3,300万円を払う
- 借入額は3,500万円。残代金3,300万円を払っても200万円が手元に残る
立て替えた200万円は、引渡しの日に戻ってきます。だから必要なのは「契約から引渡しまでの1〜2か月、200万円を動かさずに置いておけるか」です。
ただし借入額が物件価格より少ない場合(頭金を入れる場合)は戻りません。自分がどちらなのかは、頭金の記事で借入額の決め方を確かめてください。



銀行の審査は物件価格までしか貸してくれないのが原則です。「手付金を含めて多めに借りる」という発想ではなく、物件価格ぴったりを借りて、先に出した分が戻ると考えてください。
当社集計|関西の建売なら手付金は159万円〜359万円が目安
手付金の額は、実務では物件価格の5%〜10%で決まることがほとんどです。当社が掲載している関西の建売1,356件の価格から、実額を出しました。
| 府県 | 掲載件数 | 価格の中央値 | 手付5% | 手付10% |
|---|---|---|---|---|
| 兵庫県 | 404件 | 3,180万円 | 159万円 | 318万円 |
| 大阪府 | 382件 | 3,590万円 | 180万円 | 359万円 |
| 奈良県 | 277件 | 3,480万円 | 174万円 | 348万円 |
| 滋賀県 | 167件 | 3,180万円 | 159万円 | 318万円 |
| 京都府 | 103件 | 3,480万円 | 174万円 | 348万円 |
| 和歌山県 | 23件 | 2,290万円 | 114万円 | 229万円 |
関西全体の中央値は3,390万円でした。多くの人が用意するのは170万円から340万円のあいだということになります。手付金のほかに現金で要るお金は建売の諸費用の記事にまとめています。
自分が検討している価格帯で確かめるなら、関西の新築一戸建て一覧で実際の物件価格を見てから計算してください。
手付金の上限は代金の20%|下限は法律で決まっていない
建売の売主は、ほぼすべてが宅地建物取引業者です。この場合、手付金には法律の上限があります。
宅地建物取引業者は、自ら売主となる宅地又は建物の売買契約の締結に際して、代金の額の十分の二を超える額の手付を受領することができない。
3,500万円なら700万円が上限です。これを超える手付金を求められたら、その時点でおかしいと判断してください。
一方で下限を決めた条文はありません。50万円でも10万円でも、売主が納得すれば契約は成立します。
だから「手付金を減らせませんか」と聞くこと自体は、まったく失礼ではありません。言わなければ、売主の希望額がそのまま契約書に入ります。
手付金を少なくしすぎると、売主に安く解除される
ここが多くの記事で抜けている部分です。手付金は、契約を守らせるためのお互いの担保でもあります。
宅地建物取引業者が、自ら売主となる宅地又は建物の売買契約の締結に際して手付を受領したときは、その手付がいかなる性質のものであつても、買主はその手付を放棄して、当該宅地建物取引業者はその倍額を現実に提供して、契約の解除をすることができる。ただし、その相手方が契約の履行に着手した後は、この限りでない。
つまり売主が契約をやめたいときは、受け取った手付金の倍を返せばそれで終わりです。手付金が50万円なら、売主は100万円で解除できます。
その物件に、あとからもっと高く買う人が現れたらどうなるか。100万円払ってでも売り直したほうが得なら、売主はそうできてしまいます。
手付金300万円なら、売主は600万円を用意しなければ解除できません。手付金は、自分の契約を守る盾でもあるということです。
「履行に着手」したあとは、お互い解除できなくなる
条文の最後にある「相手方が契約の履行に着手した後は、この限りでない」が効いてきます。
買主側でいえば、中間金を払う・リフォームの発注をするといった行為が履行の着手にあたります。ここを過ぎれば売主からの手付解除は封じられます。
契約から引渡しまでの期間が長い物件ほど、この期間が不安定になります。完成前の建売で手付金を低くする場合は、引渡しまでの日数も一緒に見てください。
現金が足りないときに取れる4つの手
手1|手付金の額を下げてもらう
いちばん現実的です。下限の決まりがないので、交渉の余地があります。
ただし前の章のとおり、下げるほど守りが薄くなります。目安は5%を切らないところまで。3,400万円なら170万円です。
手2|契約日を後ろにずらして貯める
完成前の物件なら、契約日に多少の幅があることがあります。ボーナスの時期に合わせられないかを聞いてみてください。
ただし人気の区画は待てません。待てる物件かどうかは、同じ分譲地の売れ行きで判断できます。
手3|親や祖父母から援助を受ける
住宅取得等資金の贈与には非課税の枠があります。援助を受けられるなら、これがいちばん負担が小さい方法です。
注意点は贈与でもらったお金で手付金を払う場合、入金の記録を残しておくこと。確定申告で使えるようにしておきます。
手4|仲介手数料が0円になる物件を選ぶ
見落とされがちですが、効き方はいちばん大きいです。仲介手数料は現金で用意するお金だからです(諸費用ローンに含められる場合もありますが、金利は住宅ローンより高くなります)。
| 物件価格 | 通常の仲介手数料(税込) | 手付金に回せる額 |
|---|---|---|
| 3,000万円 | 105万6,000円 | +105万6,000円 |
| 3,500万円 | 122万1,000円 | +122万1,000円 |
| 4,000万円 | 138万6,000円 | +138万6,000円 |
手数料が0円なら、その100万円超をそのまま手付金に回せます。0円で買える物件は仲介手数料0円の新築一戸建てで絞り込めます。
仕組みは仲介手数料無料のからくりに書いています。0円にできない物件もあるので、そちらもあわせてご覧ください。
手付金が返ってくる場合と、返ってこない場合
| やめる理由 | 手付金はどうなるか |
|---|---|
| 無事に引渡しまで進んだ | 売買代金に充てられる(実質戻る) |
| 住宅ローンの審査に落ちた | 全額返ってくる(ローン特約がある場合) |
| 気が変わってやめた | 放棄する(返ってこない) |
| 売主が契約をやめた | 倍額が返ってくる |
| 事務所以外で申し込んだ場合の撤回 | 8日以内なら全額返ってくる |
ローン特約は契約書に入っているかを必ず見る
住宅ローンが通らなかったときに契約を白紙に戻せる取り決めを「ローン特約」と呼びます。法律上の義務ではなく、契約書に書いてあって初めて効きます。
見るのは3つです。
- いつまでに(融資承認取得期日)
- どの銀行で(申し込む金融機関名が特定されているか)
- いくら借りる前提か(融資利用額)
書かれた銀行以外で落ちても特約が効かないことがあります。事前審査を通しておけば、この期日の設定そのものが楽になります。
クーリング・オフが使える場面は限られる
宅地建物取引業法第37条の2で、事務所等以外の場所で買受けの申込みをした場合は、告げられた日から8日以内なら書面で撤回できます。
ただし事務所で申し込んだ場合は対象外です。現地のモデルハウスや喫茶店で申込書を書いた場合が主な対象になります。
引渡しを受けて代金を全部払ったあとも使えません。「8日間あるから大丈夫」と考えないでください。
手付金を預けたお金は保護されているのか
売主が倒産したときに手付金が戻らないと困るので、法律は保全措置を定めています。ただし金額が小さいと義務になりません。
| 物件の状態 | 保全措置が要らない範囲 | 根拠 |
|---|---|---|
| 工事完了前(未完成) | 代金の5%以下かつ1,000万円以下 | 宅建業法41条1項ただし書 |
| 工事完了後(完成済み) | 代金の10%以下かつ1,000万円以下 | 宅建業法41条の2第1項ただし書 |
当社が掲載している1,356件で、代金の10%が1,000万円を超える物件は0件でした。つまり建売では、1,000万円の基準に引っかかることはまずありません。
実際に効くのは割合のほうです。完成済みの建売で手付金を10%以内に収めれば、売主は保全措置を取らなくてよいことになります。
だから未完成の物件で5%を超える手付金を求められたら、保全措置の書面をもらえるかを必ず確認してください。保証書や保険証券が買主に交付されます。
当社が契約前に確かめること
- 手付金の額が代金の20%を超えていないか
- 手付解除ができる期限(いつまで放棄で抜けられるか)
- ローン特約の期日・金融機関名・融資利用額
- 未完成物件なら保全措置の有無と、書面の交付時期
- 違約金の率(手付解除の期限を過ぎたあとに効いてくる)
- 引渡しまでの日数と、その間に売主が解除できる期間
5つ目の違約金は、手付解除の期限を過ぎてからやめる場合に効きます。代金の20%と書かれていることが多く、手付金よりはるかに大きい金額です。
建売の手付金についてよくある質問
- 手付金はクレジットカードで払えますか
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原則として現金か銀行振込です。カード払いを受け付ける売主はほとんどありません。手付金は売買代金に充当される性質のお金で、金額も100万円を超えることが多いため、決済手段としてカードは想定されていません。どうしても用意が難しい場合は、カードローンで借りるのではなく、手付金そのものの額を下げる交渉をしてください。借入が増えると住宅ローンの審査に響きます。
- 手付金を10万円にしたいと言ったら断られますか
-
断られることはあります。法律に下限はありませんが、売主からすると手付金が少ない買主は「本気度が低い」「ローンが通らないかもしれない」と見えるためです。申込みが重なっている物件では、手付金の額で順番が決まることもあります。現金が厳しいときは、額を下げることだけでなく、事前審査の承認書を先に出して資金の裏づけを示すほうが通りやすくなります。
- 手付金と頭金と申込証拠金は何が違いますか
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手付金は売買契約を結ぶときに払うお金で、代金に充当され、契約を解除するときの担保になります。頭金は物件価格のうち自己資金で払う部分のことで、借入額を減らすために入れるお金です。申込証拠金は契約前の「押さえ」で払う数万円から10万円程度のお金で、契約に進めば手付金に充てられ、進まなければ返還されます。申込証拠金は払わない運用の会社も多く、当社では求めていません。
- ローン審査に落ちたら本当に全額返ってきますか
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ローン特約が契約書に入っていて、その条件どおりに手続きした場合は返ってきます。注意が必要なのは、特約に書かれた期日までに結果が出なかったとき、特約で指定された金融機関以外に申し込んで落ちたとき、申込書に事実と違うことを書いていたときです。これらは特約が働かないことがあります。契約前に事前審査を通しておくと、この場面でもめる可能性がほぼなくなります。
- 完成前の建売で手付金を払うのは危なくないですか
-
代金の5%を超える手付金を受け取る場合、売主には保全措置が義務づけられます(宅地建物取引業法41条1項)。銀行の連帯保証か保証保険のどちらかで、買主には保証書か保険証券が交付されます。5%以下であれば義務はないので、その場合は売主の規模や免許の更新回数を見て判断することになります。当社では未完成物件のとき、保全措置の有無と書面の交付時期を必ず確認してからお伝えしています。
- 手付金を払ったあとに値引き交渉はできますか
-
できません。売買契約を結んだ時点で価格は確定します。値引きの交渉ができるのは、買付証明書(購入申込書)を出してから契約するまでのあいだだけです。手付金の額も同じタイミングで決まるので、価格と手付金はセットで話すことになります。順番を間違えると、どちらも動かせなくなります。
まとめ|手付金は「払うお金」ではなく「立て替えるお金」
- 手付金は住宅ローンで払えない。契約の日にはローンが実行されていないから
- ただし代金に充当されるので、フルローンなら引渡しの日に手元へ戻る
- 関西の建売なら、目安は159万円〜359万円(価格の5〜10%)
- 上限は代金の20%。下限の決まりは無いので、下げる交渉はしてよい
- 下げすぎると、売主が倍額だけで解除できてしまう
- 仲介手数料0円の物件なら、100万円超をそのまま手付金に回せる
手付金をいくらにするかは、物件ごとの事情で変わります。完成しているか、同じ分譲地に残りが何戸あるか、引渡しまで何日あるかで、適正な額が変わるからです。
気になる物件のURLを送っていただければ、手付金の相場と、その物件で確かめるべき点をあわせてお返事します。関西の新築一戸建てから探すこともできます。













